「くんたん」第5類「薬剤」第10類「医療用機械器具」

2017/9/24 未分類

◆対象商標：
「くんたん」
第5類「薬剤」
第10類「医療用機械器具」

◆種別と審判番号：
異議の決定
異議2016-900253

◆審決日：
2017/03/06

◆関連条文：
商標法第4条第1項第11号

◆引用商標：
1)国際登録第927379号商標「KUVAN」
2)国際登録第1002133号商標「KUVAN」（図形商標　詳細は公報参照）

◆結論：
登録第5849338号商標の商標登録を維持する。

◆理由：
1)「KUVAN」の文字について
申立人は、「KUVAN」が世界で初めて開発されたフェニルケトン尿症の治療薬であることに加え、申立人が世界中で販売し、商標を出願、登録しているものであることを考慮すると、「KUVAN」は、取引者、需要者に広く知られている商標といえる旨主張する。

しかし、申立人の提出する証拠からは、「KUVAN」の文字が、申立人の業務に係る商品「フェニルケトン尿症治療薬」を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く知られているものということができない。

2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア本件商標
称呼：「クンタン」
観念：特定の観念を生じない。

イ引用商標
(ア)引用商標1
称呼：「クンタン」
観念：特定の観念を生じない。

(イ)引用商標2
称呼：「クンタン」
観念：特定の観念を生じない。

ウ本件商標と引用商標との類否
ⅰ）外観
外観上、明確に区別される。

ⅱ）称呼
本件商標「クンタン」の称呼と引用商標の「クヴァン」の称呼とは、それぞれ、4音又は3音という短い音構成からなり、前者が「ク」と「タ」の音にアクセントがあるように聴取されるものであるのに対し、後者は「ク」の音にアクセントがあるように聴取されるものであって、その音調、音感において相違するものであるから、称呼上、聴き誤るおそれはない。

ⅲ）観念
観念上、相紛れるおそれはない。

これより、両商標は非類似の商標であり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

◆コメント
極めて妥当な審決であると考えるが、称呼の類否判断において音の相違に言及するのではなく、アクセントの位置の相違により聴別されるとの判断は、筆者にとっては斬新と感じた。

審決公報はここをクリック。

「KURION」第40類第42類

2017/9/24 未分類

◆対象商標：
「KURION」
第40類
第42類

◆種別と審判番号：
拒絶査定不服の審決
不服2016-650058

◆審決日：
2017/03/07

◆関連条文：
商標法第4条第1項第11号

◆引用商標：
1)登録4494912号商標「クリオン＼CLION」
2)登録第4665283号商標　「クリオン＼CLION」

＜本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる＞

「LINEAR EXPRESS」第35類

2017/9/24 未分類

◆対象商標：
「LINEAR EXPRESS」
第35類「オンラインによる工業用集積回路及びその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」

◆種別と審判番号：
拒絶査定不服の審決
不服2016-10171

◆審決日：
2017/03/07

◆関連条文：
商標法第4条第1項第15号

◆引用商標：
東海旅客鉄道株式会社が2027年開業予定の「超電導リニアによる中央新幹線による輸送」に使用している著名な商標である「LINEAR EXPRES」

＜本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる＞

◆結論：
原査定を取り消す。本願商標は、登録すべきものとする。

◆理由：
1)商標法第4条第1項第15号該当性
職権による調査によれば、東海旅客鉄道が、本願商標の出願時及び査定時並びに審決時において、同社の業務に係る超電導リニアモーターによる中央新幹線を表すものとして「LINEAR EXPRESS」の語を使用している事実は見当たらない。

また、本願の指定役務は、補正された結果「オンラインによる工業用集積回路及びその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」である。

この集積回路を取り扱う業界において、「LINEAR」の文字は、上記「直線」の意味合いをもって、入力と出力の関係が直線的(リニア)になっていることを表すものとして、「linear integrated circuit(リニア集積回路)」等の複合語を形成する語として使用されている実情があり、加えて、「EXPRESS」の語も、「速達便」の意味を有する語としても知られている。

これより、本願の指定役務を取り扱う取引者、需要者の間においては、本願商標から、直ちに、東海旅客鉄道に係る超電導リニアモーターによる中央新幹線のみを想起するとはいえない。

また、本願の指定役務「オンラインによる工業用集積回路及びその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、東海旅客鉄道の業務に係る「鉄道による輸送」等の役務とは、その提供の手段、目的又は場所、需要者及び業種等において関連性が見いだせないものであるから、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者及び需要者が、両役務の関連性をもって、東海旅客鉄道を連想又は想起するものとは認められない。

これらより、本願商標は役務の出所について混同を生じるおそれがある商標ということはできない。

◆コメント
本審決で説示されている通り、「LINEAR EXPRESS」の語は東海道旅客鉄道が使用ている語ではなく、マスコミ等が使用している語のようである。

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「CRYSTALDUST」第14類「貴金属」等

2017/9/24 未分類

◆対象商標：
「CRYSTALDUST」
第14類「貴金属、宝飾品、宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品、キーホルダー、宝石箱、身飾品、時計」

◆種別と審判番号：
異議の決定
異議2016-900338

◆審決日：
2017/03/08

◆関連条文：
商標法4条1項11号

◆引用商標：
1)国際登録第837164号商標　「GOLDUST」
2)国際登録第1190273号商標　「SUNDUST」

＜本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる＞

「アイアップ＼iup」第37類「スマートフォン・携帯電話・携帯情報端末機器又はコンピュータの修理又は保守」

2017/9/24 未分類

◆対象商標：
「アイアップ＼iup」
第37類「スマートフォン・携帯電話・携帯情報端末機器又はコンピュータの修理又は保守」

◆種別と審判番号：
異議の決定
異議2016-900345

◆審決日：
2017/03/09

◆関連条文：
商標法4条1項10号
商標法4条1項15号
商標法4条1項19号
商標法4条1項7号

◆引用商標：
1）「iup」
2）「アイアップ」
3）「赤色のリンゴの形状及び十文字と黒色の“iup”」を組み合わせた商標

＜本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる＞

◆結論：
登録第5869655号商標の商標登録を維持する。

◆理由：
1 引用商標の周知性
申立人の提出した証拠等より、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人らの業務に係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

2 商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性
ⅰ）本件商標
称呼：「アイアップ」
観念：特定の観念を生じない。

ⅱ）引用商標1乃至3
称呼：「アイアップ」
観念：特定の観念を生じない。

これより、本件商標と引用商標は類似の商標といえる。

しかし、引用商標は、上記のとおり申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く知られていたとはいえない。

よって、商標法4条1項10号および商標法4条1項15号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第19号該当性
引用商標は、上記のとおり申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く知られていたとはいえない。

また、商標権者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的を持って本件商標を出願し、登録を受けたと認めるにる具体的事実を見いだすこともできない。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

4 商標法第4条第1項第7号該当性
申立人らは、引用商標の使用開始にあたって、その商標を自ら登録出願する機会は十分にあり、自ら登録出願しなかった責めを商標権者に求めるべき事情を見いだすこともできない。

また、引用商標は我が国において広く認識されているということはできない。

そうすると、提出された証拠からは、商標権者が、申立人らの事業の遂行を妨害や阻止しようとしていることを裏付ける証拠を見いだすことができないものであって、本件商標を先取り的に商標登録出願し、商標権を取得したと認めることはできないから、社会的妥当性を欠くものということはできない。

これより、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべきものではない。

◆コメント
本審決の商標法4条1項7号に該当しない旨の説示において、「商標を自ら登録出願する機会は十分にあり、自ら登録出願しなかった責めを商標権者に求めるべき事情を見出すこともできない」とされており、法は権利の上に眠る者を保護しないという大原則が貫かれている。

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「アソートパック」第3類

2017/9/24 未分類

◆対象商標：
「アソートパック」
第3類「家庭用帯電防止剤」等

◆種別と審判番号：
異議の決定
異議2015-900149

◆審決日：
2017/02/24

◆関連条文：
商標法第3条第1項第3号
商標法第4条第1項第16号

＜本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる＞

◆結論：
登録第5742943号商標の指定商品中、第3類「全指定商品」についての商標登録を取り消す。

◆理由：
(1)「アソートパック」の意味合い
本件商標を構成する「アソートパック」の語は、本件商標の登録査定前から、「同種商品において、いくつかの種類を詰め合わせてひとまとめにした商品」程度の意味合いを表す複合語として、食品を始め、文房具及び本件商標の指定商品である化粧品、せっけん類、歯磨き、洗濯用柔軟仕上げ剤など日常使用する商品を取り扱う業界において広く使用されていたことが認められる。

本件異議申立てに係る第3類「全指定商品」も、日用品であって、その需要者は広く一般消費者を対象としているのであるから、遅くとも本件商標の登録査定時において、「アソートパック」の語は、その需要者に「同種商品において、いくつかの種類を詰め合わせてひとまとめにした商品」程度の意味合いを表す語として認識されるものであったと認めるのが相当である。

(2)「アソートパック」の使用例
商標権者は、「アソートパック」の使用例は、第3類の指定商品に関しては、「入浴剤、リップクリーム、洗濯用柔軟仕上げ剤、固形せっけん、デンタルペースト、ジェルマスク、トイレ用芳香洗浄剤」のみであり、しかも、各商品に関し、わずか1、2例程度しかないこと、ましてや、「アソートパック」との語が第3類の指定商品全般に関して、一般的に使用されていることを立証する証拠としては明らかに不十分であるから、本件商標の自他商品識別力を否定する根拠にはならない旨主張する。

しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、当該商標が取引上現実に使用されている事実は、同号の適用において必ずしも要求されない。

よって、本件商標は、その指定商品中の第3類「全指定商品」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

　
◆コメント
筆者は、本審決に接するまで「アソートパック」の語を認知していなかった。
ネット等で検索すると、確かに多くの使用例があり、商標法3条1項3号の適用も免れなかったと考える。

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「マッシブクロー」第28類「釣り具」

2017/9/24 未分類

◆対象商標：
「マッシブクロー」
第28類「釣り具」

◆種別と審判番号：
拒絶査定不服の審決
不服2016-12340

◆審決日：
2017/02/27

◆関連条文：
商標法第4条第1項第11号

◆引用商標：
登録第5107974号商標「MASSIVE」

＜本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる＞

「HEAT NOT BURN SYSTEM」（図形商標　詳細は公報参照）第9類「喫煙器具用加熱式電子装置のバッテリー」第11類第34類

2017/9/24 未分類

◆対象商標：
「HEAT NOT BURN SYSTEM」（図形商標　詳細は公報参照）
第9類「喫煙器具用加熱式電子装置のバッテリー」等
第11類「家庭用電熱用品類」
第34類「たばこ製品」等

◆種別と審判番号：
異議の決定
異議2016-900248

◆審決日：
2017/03/07

◆関連条文：
商標法第4条第1項第11号

◆引用商標：
登録第5843794号商標「HEAT NOT BURN TECHNOLOGY」

＜本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる＞

◆結論：
登録第5849945号商標の商標登録を維持する。

◆理由：
(1)本件商標
本件商標は「HEAT」「NOT」「BURN」「SYSTEM」からなり、本件商標の指定商品との関係において、上記単語の複数の組み合わせからなる語が、取引上一般に使用されている実情を見いだすこともできず、その構成の一部分又はその構成全体から直ちにまとまった意味合いを認識させるものとはいい難い。

これより、本件欧文字部分は、殊特定の文字部分のみに着目されるというよりは、「HEAT NOT BURN SYSTEM」の横一連のよって、
　称呼：「ヒートノットバーンシステム」
　観念：特定の観念は生じない
となる。

(2)引用商標
引用商標は、殊更、特定の文字部分のみに着目されるというよりは、「HEAT NOT BURN TECHNOLOGY」の横一連の構成文字全体をもって一体不可分の造語よりなるものと認識、理解される。

よって、
　称呼：「ヒートノットバーンテクノロジー」
　観念：特定の観念は生じない。
となる。

(3)本件商標と引用商標との類否
ⅰ）外観
本件商標の要部である「HEAT NOT BURN SYSTEM」と引用商標の「HEAT NOT BURN TECNOLOGY」を比較すると、両商標とも語頭から3語の「HEAT NOT BURN」の文字までは同じであるが、4語目の「SYSTEM」と「TECNOLOGY」の文字部分が異なっており、外観上、明確に区別できるものである。

ⅱ）称呼
音数及び音構成が明らかに相違するものであるから、両称呼は、互いに聞き誤るおそれはない。

ⅲ）観念
両商標は、観念を有しないものであるから、観念において比較することができず、類似するとはいえない。

これより本件商標と引用商標とは、非類似の商標であり、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(5)申立人の主張について
申立人は、前半3語の「HEAT NOT BURN」の文字部分にのみ着目して取引に資されることは少なくなく、特許庁における審決例においても、両商標と同様に冗長な商標に関して、商標全体だけでなく、その前半部分をもって把握されると判断した例が少なくない旨主張する。

しかし、「HEAT NOT BURN」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情も見いだせず、そもそも商標の類否判断は、個別具体的に判断されるべきものであって、過去の審決例等の判断に拘束されるものではないから、請求人の主張は、採用することができない。

◆コメント
出願人側からすると過去の審決の類否判断を根拠に主張することもあるが、審判官からは「個別具体的に判断されるべきもの」との応答となることが多いだろう。

審決公報はここをクリック。

「Fulltech」第35類

2017/9/24 未分類

◆対象商標：
「Fulltech」
第35類「業務用空気清浄装置の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等

◆種別と審判番号：
拒絶査定不服の審決
不服2016-19222

◆審決日：
2017/03/07

◆関連条文：
商標法第4条第1項第11号

◆引用商標：
1)登録第2125527号　「FluTec」　（図案化　詳細は公報参照）
2)国際登録第1141942号商標「Flutec」

＜本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる＞

「ROI SOLEIL＼Blond Chocolate」第30類「チョコレート」等

2017/9/24 未分類

◆対象商標：
「ROI SOLEIL＼Blond Chocolate」（図形商標　詳細は公報参照）
第30類「チョコレート、チョコレートを使用した洋菓子、チョコレートを使用したパン」

◆種別と審判番号：
拒絶査定不服の審決
不服2016-15662

◆審決日：
2017/03/03

◆関連条文：
商標法第4条第1項第11号

◆引用商標：
登録第5644195号商標「ROI＼SOLEIL」（図形商標　詳細は公報参照）

＜本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる＞

◆結論：
本件審判の請求は、成り立たない。

◆理由：
(1)本願商標
原審等によれば、チョコレート市場においてブラック、ミルク、ホワイトに次ぐ第4のチョコレートとしてブロンドチョコレートが注目を浴び、当該チョコレートを用いた菓子等が少なからず製造、販売されている事実がある。

上記事実からすると、本願商標の構成中の「Blond Chocolate」の文字部分は、指定商品との関係において、その商品がブロンドチョコレート、又はブロンドチョコレートを使用した商品であることを表示したものと認識、理解され、
自他商品識別標識としての機能が極めて弱いか、その機能を果たさない。

これより、本願商標は、「ROI SOLEIL」が独立して自他商品識別標識としての機能を果たす。

そして、「ROI」の文字は「王」の意味を、「SOLEIL」の文字は「太陽」を意味を有するフランス語であるから、本願商標は、
　称呼：「ロワソレイユ」
　観念：「太陽の王」の観念を生じる
となる。

(2)引用商標
称呼：「ロワソレイユ」
観念：「太陽の王」の観念を生じる。

(3)本願商標と引用商標との類否
ⅰ）外観
本願商標と引用商標とは、独立して着目される「ROI SOLEIL」について、一段書きか二段書きかの差異はあるが、ものの、構成文字及び文字種を同一にするから、外観上近似した印象を与える。

ⅱ）称呼
称呼同一である。

ⅲ）観念
観念同一である。

両商標は、外観において近似した印象を与え、称呼及び観念を同一であるから、全体として類似の商標であり、商標法4条1項11号に該当する。

◆コメント
本願商標の要部が「ROI SOLEIL」としたことが本審決の判断の大きなポイントであった。
筆者は極めて妥当な判断であったと考える。
ただ仔細な点ではあるが、「ROI SOLEIL」について「太陽の王」の観念を生じる需要者等がどのくらいの割合でいるのであろうか。
筆者もそのような観念は想起することができなかった。
「特定の観念は生じない」としてもよかったのではないだろうか。

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「東京家族葬」第45類「葬儀の執行」等

2017/9/24 未分類

◆対象商標：
「東京家族葬」
第45類「葬儀の執行」等

◆種別と審判番号：
拒絶査定不服の審決
不服2016-16164

◆審決日：
2017/03/06

◆関連条文：
商標法第3条第1項第3号
商標法第4条第1項第16号

＜本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる＞

◆結論：
原査定を取り消す。本願商標は、登録すべきものとする。

◆理由：
(1)商標法第3条第1項第3号該当性
本願商標は、「東京」の語が「日本国の首都」を示す地名であり、かつ、「家族葬」の語が「家族・親族を中心に営まれる葬式」の意味を有していること、また、原審が摘示するようにインターネット上でこれら両語を用いて、「家族葬Hｏme ＞東京家族葬/23区のエリア」の記載の後に改行して「家族葬ネットの東京23区サービスエリアと東京地域情報」の記載等があるとしても、これらの事実だけでは、両語を間隔なく結合した「東京家族葬」の語から、原審が説示する「東京で執り行われる(小規模の)家族葬」程の意味合いを直ちに認識させるものとは認め難い。

また、本願商標の指定役務を取り扱う業界において、「東京」その他の特定の地名を表示する文字と「家族葬」の文字とを間隔なく結合した「○○家族葬」(「○○」は地名)の文字が役務の質等を表示するものとして、取引上普通に使用されていると認めるにりる事実も発見できなかった。

そうすると、本願商標は、全体として特定の意味合いを有さない一連の造語よりなるというのが相当であり、役務の質を普通に用いられる方法で表示するものではないことから、商標法第3条第1項第3号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第16号該当性
本願商標は、全体として特定の意味合いを有さない一連の造語であり、これに接する需要者、取引者をして、特定の役務の質を表示するものと看取されることもないため、役務の質の誤認が生じるおそれはない。

よって、商標法第4条第1項第16号にも該当しない。

◆コメント
本審決は、インターネット上に本願出願を構成する語が用いられていたが商標法3条1項3号に該当しないと判断された事案である。

同条項に該当しないと判断された理由の一つとして、本願商標を構成する語が用いられていた事例がわずかであったことがあるだろう。
また、「○○家族葬」(「○○」は地名)が役務の質を表示するものとして使用されている事例もなかったこともその一因であるだろう。
出願人側とすると、ごくわずかな使用事例があった場合でも、冷静に見極め出願するかどうかを判断することが必要である。

審決公報はここをクリック。

「WORLD SERIES OF FIGHTING」第25類第41類

2017/9/24 未分類

◆対象商標：
「WORLD SERIES OF FIGHTING」
第25類
第41類

◆種別と審判番号：
異議の決定
異議2016-900288

◆審決日：
2017/03/06

◆関連条文：
商標法第4条第1項第11号
商標法第4条第1項第15号

◆引用商標：
1) 登録第1888544号商標「WORLDSERIES＼ワールドシリーズ」
2) 登録第2300695号商標「WORLDSERIES＼ワールドシリーズ」
3) 登録第5409040号商標「WORLD SERIES」
4) 登録第5415351号商標「WORLD SERIES」

＜本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる＞

◆結論：
登録第5858151号商標の商標登録を維持する。

◆理由：
1 引用商標の周知性
申立人の提出に係る証拠及びその主張によれば、申立人は、米国メジャーリーグベースボールの商標権その他の権利を管理する法人である。

「WORLD SERIES」は、メジャーリーグベースボールにおいて毎年レギュラーシーズン終了後の10月にナショナル・リーグとアメリカン・リーグのそれぞれの優勝チームが7回戦制の4戦先勝方式でその年の全米一を争う試合である。

引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務であることを表示するものとして、一定の知名度を有しているといい得るものであって、遅くとも本件商標の登録出願の日前から、取引者、需要者の間において、広く認識されていたものと認めることができ、その周知性は現在も継続しているものといえる。

2 商標法第4条第1項第11号該当性
(1)本件商標
本件商標「WORLD SERIES OF FIGHTING」は、いずれも同書、同大で、まとまりよく表されており、その構成中の特定の文字部分が強く支配的な印象を与えるものではないから、視覚上一体的に把握される。
よって、
　称呼：「ワールドシリーズオブファイティング」
　観念：「格闘の世界的な連続試合(シリーズ)」程の観念を生ずる。

(2)引用商標
引用商標1乃至4はいずれも
　称呼：「ワールドシリーズ」
　観念：「メジャーリーグベースボールの選手権試合」程の観念を生じる。

(3)本件商標と引用商標との類否
ア外観
両者のそれぞれの単語数、文字構成が相違し、外観上、十分に区別できる。

イ称呼
構成音、構成音数などが明らかに相違し、称呼上、十分聴別できる。

ウ観念
両者の観念は明らかにその意味合いにおいて相違し、観念上、類似しない。

これより、両商標は非類似の商標であり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第15号該当性
申立人の引用商標の周知性は認められるが、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。

よって、本件商標は、その商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれはなく商標法第4条第1項第15号に該当しない。

◆コメント
「WORLDSERIES」「ワールドシリーズ」は確かにわが国でも広く認識されているが、「WORLD SERIES OF FIGHTING」
となると看者はメジャーリーグベースボールの選手権試合を想起することはないだろう。

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