◆結論：
原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
 
◆理由：
本願商標は、「菌」が「菌類、細菌」の意味を有することから、全体として「(細菌などの)菌からあなたを守りたい」程の意味合いを理解させるものである。

 

本願の指定商品の分野において、「菌からあなたを守りたい」の文字が、商品の説明や、顧客の吸引、販売促進等のためのキャッチフレーズとして一般的に使用されている事実は発見できなかった。

 

よって、本願商標は、「(細菌などの)菌からあなたを守りたい」程の意味合いを理解させるとしても、どのような商品であるかなど具体的に表すものではなく、本願の指定商品の説明や宣伝文句、キャッチフレーズとして、取引者、需要者に理解させるとまではいえないものである。

 

そうすると、本願商標は、本願の指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであって、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえないものである。

 

よって、商標法3条1項6号には該当しない。

 

◆コメント：
本願商標の「菌からあなたを守りたい」に触れた需要者等は、確かにどのような商品か具体的に想起できないであろう。

 

 

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◆結論：
登録第5880430号商標の商標登録を維持する。
 
◆理由：
1）申立人使用商標の周知著名性について
申立人の提出の証拠によっては、申立人使用商標が、需要者の間に広く認識されているとは認めることはできない。

 

2）本件商標と申立人使用商標との類似性について
本件商標と申立人使用商標とは、「スマートパーク」の称呼を同一にするものであり、また、本件商標と欧文字からなる申立人使用商標とは、そのつづりを同一とするものであることから、両商標は、類似するといえるものである。

 

3）商標法4条1項10号の該当性
本件商標と申立人使用商標とは、類似するものであるといえるが、
申立人使用商標が、需要者の間に広く認識されているとまでは認めることはできない。

 

よって、商標法4条1項10号に該当しない。

 

4）商標法4条1項15号の該当性
本件商標と申立人使用商標とは、類似するものであるといえるが、
申立人使用商標が、需要者の間に広く認識されているとは認めることはできない。

 

よって、出所の混同を生ずるおそれはない。

◆コメント：
申立人が周知性証明のために提出した証拠が、本件商標の出願日後であったものがいくつかあった。
証拠提出の際には、証拠となった日付について慎重に精査しなければならない。

 

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◆結論：
原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
 
◆理由：
1）本願商標
図形部分と文字部分とは、視覚上分離して観察され、図形部分からは、特定の称呼及び観念を生じない。

 

「OMOTESANDO」は、「表参道」の読みをローマ字で表したものということができ、役務の提供の場所を表したものと容易に理解され、自他役務識別標識としての機能を果たし得ないか、又は極めて弱い部分である。

 

よって、「TERRARIUM」が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得る。

 

これより

　称呼：「テラリウム」
　観念：「陸生小動物の飼育器」

が生じる。

 

2）引用商標について
称呼：「トラリウム」
観念：特定の観念を生じない

 

3）本願商標と引用商標との類否
①外観
外観上、十分に区別し得るものである。

 

②称呼
「テラリウム」と「トラリウム」とは、語頭において「テ」と「ト」の音の差異を有し、共に5音という比較的短い音構成においては、この差異音が称呼全体に与える影響は少なくなく、十分に聴別し得る。

 

③観念
引用商標は、特定の観念を生じないものであるから、本願商標と比較することができず、両商標は、観念上、類似するとはいえない。

 

よって、両者は非類似の商標である。

◆コメント：
比較する称呼が共に5音で語頭が明確に聞き分けれるので、本件の称呼非類似の判断は妥当と考える。

 

 

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◆結論：
原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。

 
◆理由：
1）本願商標
「アクア」は「水」、「少額短期保険」は「保険金額1000万円以下、保険期間2年以下の保険」の意味を有する語であり、結合して成語となるなどの観念上のつながりはないものの、同一の書体、同一の大きさで、等間隔に表してなるため、構成上はまとまりよく、視覚上、一体的に把握される。

 

また、「少額短期保険」の文字は、少額短期保険業者の名称中に「○○少額短期保険(株)」のように表示される例がみられるものの、そのような名称の少額短期保険業者を「○○」の文字部分だけで略称することが一般的であるとの事実等を見いだすことができなかった。

 

よって、本願商標は「アクア」と「少額短期保険」の文字を連結してなる結合商標であるものの、「アクア少額短期保険」の構成文字全体をもって認識、把握され、取引される。

 

よって、
　称呼：「アクアショウガクタンキホケン」
　観念：特定の観念は生じない
となる。

 

2）引用商標について
称呼：「アクア」
観念：「水」

 

3）本願商標と引用商標の類似
①外観
「アクア」の片仮名を構成文字として有する点で共通するものの、その他の構成文字は明らかに相違するため、外観上紛らわしいものではない。

 

②称呼
語頭の「アクア」の3音は共通にするものの、全体の音数が顕著に相違するため、両商標は明瞭に聞き分けることができる。

 

③観念
比較することができない。

 

よって、互いに非類似の商標である。

 
◆コメント：
近年の審決傾向と同様に、本件商標は結合商標だが構成文字全体として認識される旨の判断となっている。

 

 

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◆結論：

原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。

 

◆理由：

1）商標法第3条1項6号の該当性

「医師」は、「所定の資格を得て、病気の診療・治療を業とする人。医者。」の意味を、また「ドットコム」は、インターネットのドメイン名で、企業を表す「.cｏm」の読みの片仮名で表したものと理解される場合があるといえるものの、これらを一体に表した「医師ドットコム」の文字が直ちに「医師に関する情報を提供するウェブサイト」の意味合いを表すものと認識されるとはいい難い。

 

また、取引上普通に使用されている事実を発見することはできなかった。

 

よって、商標法3条1項6号に該当しない。

 

2）商標法4条1項7号の該当性

本願商標は構成中に「医師」の文字を含む。

請求人は、東京大学医学部附属病院における医師の互助組織を母体として設立され、種々の医療関連事業を展開し、取締役等に多くの医師を擁する法人であり、厚生労働大臣から事業の許可を得ていることが請求人提出資料からうかがえる。

 

よって、「医師」の文字が含まれていても、請求人は東京大学医学部附属病院における医師の互助組織を母体として設立され、厚生労働大臣から事業の許可を得ている法人であることから、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものとはいえない。

 

（参考：拒絶査定時の理由概要）

商標法4条1項7号について：

「医師」の文字部分は、医師法第18条の規定により使用が禁止されている名称であるから、その資格を得ることができない法人である出願人がこれを商標として採択使用することは穏当ではない。よって、本願商標は商標法4条1項7号に該当する

 

◆補­

拒絶査定時は商標法6条1項違反にも該当していたが、補正により解消した。

 

◆コメント：

医師法18条には、「医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。」との定めがある。

本件は登録審決となったが、実際に使用するには上記医師法18条もクリアする必要があるであろう。

 

 

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◆結論：
本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

 

◆理由：
1）商標法3条1項3号の該当性
「auto」の文字は「(1)自身の、独自の、(2)自動の」の意味を、「mower」の文字は「(1)[主に複合語で]刈り取り機:芝刈り機(lawn mower)(2)草刈師、除草師」の意味合い(いずれも「ジーニアス英和辞典第5版」株式会社大修館書店)を、それぞれの語のみで有しているとしても、本件商標は、外観上、同じ書体、同じ大きさをもって表示されており、かつ、文字の上下いずれかを線でつなぐという文字のデザイン化も同一であり、その全体としてまとまりのある一つの商標として把握されるものといえ、「オートモア」よどみなく一気に称呼し得る。

 

また、本件商標の指定商品及び指定役務の分野において、商品又は役務の品質、質を表すために「オート」又は「auto」「auto mower」「オートモア」が一般に使用されている事情を見いだすこともできなかった。

 

よって、商標法3条1項3号に該当しない。

 

2）請求人の主張について
請求人は、「モア」の文字は、複数の企業により芝刈機に頻繁に使用されているから、「mower」の文字に識別力は無い旨等、主張している。

 

しかし、提出された証拠には使用しているのは僅か4社しかなく、これをもって、「モア」又は「mower」が、「芝刈機」を表す語として広く使用されているということはできない。

 

さらに、被請求人のウェブサイトで、本件商標から「自動の芝刈機」なる概念が生じることを前提とした様な記載を行っている旨主張する。

 

しかし、被請求人のウェブサイトにおける、ロボット型芝刈り機に使用する「Automower」の表示には、登録商標であることを表す際に慣用されている「TM」の文字を付しており、この表示が品質を表す語として使用されているとはいえない。

よって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。

◆コメント：
「mower」は一般には馴染みのない語であると考えるが、本審決によると取引者、需要者にとっても広く使用されているという訳ではなさそうである。

また、日本国商標法において定めのない「TM」について付すべきか否かについて議論があるところだが、本審決のように、品質を表す語として使用しているわけではない（識別力のある語として使用している）ということをアピールするのにはある程度の有効性があると筆者は考える。

 

 

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◆結論：
原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。

 
◆理由：
1）本願商標
称呼：「フジン」「フュージン」「フージン」
観念：特定の観念を生じない

 

2）引用商標
称呼：「フウジン」
観念：特定の観念を生じない

 

3）本願商標と引用商標の類否
①外観
本願商標は欧文字よりなり、引用商標は欧文字と片仮名を併記してなるため、文字種が相違し、その構成文字も相違することから、外観上、明瞭に区別できる。

 

②称呼
本願商標の「フージン」の称呼と引用商標の「フウジン」の称呼とは、全4音中3音を共通にし、相違点は第2音における長音と「ウ」の音の相違のみにある。
母音が「ウ」である「フ」の音に続く長音（本願商標）は、「ウ」（引用商標）の音と非常に近似した音になることから、相紛らわしく、類似する。

他方、
本願商標の「フジン」と引用商標の「フウジン」とは聞き誤るおそれはない。
本願商標の「フュージン」と引用商標の「フウジン」は、語頭2音の「フュー」と「フウ」の音に差異があり、聞き誤るおそれはない。

 

③観念
両商標ともに特定の観念を生じないため、比較することができない。

よって、本願商標は、引用商標とは、複数ある称呼の中の1つである「フージン」の称呼において類似するとしても、その他の称呼は聞き誤るおそれはなく、外観上は明瞭に相違し、観念上は比較できないから、これらを総合的に考察すれば、互いに非類似の商標というべきである。

 
◆コメント：
結論には異論はないが、二段書き商標の場合、片仮名が称呼を支配している傾向にあることにやや疑問を感じる。
本件の引用商標の構成「WHO」「ZIN」から「フージン」とも称呼するのではないだろうか。

 

 

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◆結論：
原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。

 
◆理由：
「3次元」は、「われわれの認識する空間のように、連続体の広がりの次元が三つあること。」、「金具」は、「器具にとりつける金属製の付属品。」の意味を有する語であるが、これらの語を結合した「3次元金具」の文字全体からは、原審において説示したような「あらゆる方向に調整可能な金具」の意味合いを直ちに理解させ、本願商標の指定商品の品質を直接的、かつ、具体的に表示するものと、取引者、需要者に認識されるとはいい難いものである。

 

また、「3次元金具」が、商品の品質を表すものとして、取引上普通に使用されている事実を発見することはできなかった。

 

よって、本願商標は、その構成全体をもって特定の意味合いを有しない一種の造語を表したものと認識される。

 

これより、本願商標は、商品の品質等を表示するものとはいえず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ、商品の品質の誤認を生じさせるおそれもない。

 
◆コメント：
「3次元金具」について、原審説示の「あらゆる方向に調整可能な金具」を想起するというのは、かなり無理があったのではないかと筆者は考える。 
 

 

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