原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。

◆理由：

(1)本願商標について

本願商標の「男」は「おとこ」の意味を、「厨」は「くりや。調理場。台所。」の意味をそれぞれ有し、本願商標全体としては、「男(おとこ)の台所」程度の意味合いを想起させる。

これより、

　称呼：「ダンチュー」

　観念：「男(おとこ)の台所」

(2)引用商標について

称呼：「ダンチュー」

観念：特定の観念は生じない。

(3)本願商標と引用商標の比較

外観：

文字種の相違から判然と区別できる。

称呼：

同一である。

観念：

明らかに相違する。

これより、両商標は「ダンチュー」の称呼を共通にするとしても、外観、観念及び称呼を総合的に考察すれば、同一又は類似の商品に使用されるとしても、出所の誤認混同を生じるおそれはなく、相互に類似する商標とはいえない。

よって、本願商標は商標法第4条第1項第11号には該当しない。

◆コメント：

称呼同一であるが、全体として非類似と判断された事案である。

本件においては、称呼の同一を凌駕するほど外観および観念に相違があり、全体として非類似の判断は極めて妥当であると考える。

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登録第5905487号商標の商標登録を維持する。

◆理由：

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標

本件商標の「Body」「ボディー」部分について、指定商品は、「身体用の」商品と用途が限定されるべき商品ではないため、商品の用途等を表示するものと解すべきではない。

また、本件商標全体も、外観上まとまりよく一体的に表されており、「サーマー」及び「Thermor」の部分が独立して強調されている態様のものではない。

よって、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の造語を表したと理解されるとみるのが相当である。

これより、

　称呼：「ボディーサーマー」

　観念：特定の観念を生じない

となる。

イ 引用商標

(ア)引用商標1

称呼：「サーモア」

観念：特定の観念を生じない

(イ)引用商標2

称呼：「サーモア」

観念：特定の観念を生じない

(ウ)引用商標3

称呼：「サーモア」

観念：特定の観念を生じない

(エ)引用商標4

称呼：「サーモアフレックス」「サーモリフレックス」

観念：特定の観念を生じない

(オ)引用商標5

称呼：「サーモソフト」

観念：特定の観念を生じない

ウ 本件商標と引用商標との対比

(ア)外観

明らかに相違するものである。

(イ)称呼

明瞭に聴別し得るものである。

(ウ)観念

観念においては比較することができない。

(エ)

これより、本件商標と引用商標は、互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。

エ 

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

申立人は、引用商標について周知性がある旨の主張をしているが、その証拠を提出しておらず、引用商標の周知性は認められない。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

◆コメント：

本審決のポイントの一つは、本件商標「ボディーサーマー＼Body Thermor」の要部が「サーマー」「Thermor」と認定されなかったことにある。

審決説示のとおり「指定商品は、「身体用の」商品と用途が限定されるべき商品ではない」との理由ももっともではあるが、やはり「Body」「ボディー」の語は識別力が弱いといえるのではないだろうか。

ただし、仮に本件商標の要部が「サーマー」「Thermor」と認定されたとしても、本件商標と引用商標とは非類似であるとの判断は変わらなかったと考える。

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◆理由：
ア 本願商標について 
本願商標の「チオビタ」部分は、辞書等に載録のない一種の造語であって、医薬品メーカーである出願人(請求人)の製造及び販売に係るドリンク剤のブランド名を表す商標として、我が国の需要者に広く知られているものと認められる。

また、請求人提出資料によれば、「チオビタ」は、「チオビタドリンク」「チオビタドリンク2000」「チオビタゴールドα」「チオビタドリンク1000」「チオビタドリンクアイビタス」「チオビタゴールド」「チオビタゴールド2000」のシリーズ商品が存在し、本願商標の上段「チオビタゴールドα」は、出願人(請求人)が製造、販売して著名な「チオビタ」シリーズの一つを表したものと認識させ、これに接する者に強い印象を与える。

他方、「ゴールドパワー」は、「ゴールド」「パワー」共に広く親しまれ使用されているものであるから、「チオビタゴールドα」部分をさしおいて、殊更、「ゴールドパワー」部分のみが着目されて取引に資されるということはない。

これより、本願商標からは、「チオビタゴールドアルファゴールドパワー」及び「チオビタゴールドアルファ」の称呼を生じるものであって、単に「ゴールドパワー」の称呼は生じないものである。

イ 小括
これより、本願商標から「ゴールドパワー」の称呼をも生ずるとし、本願商標と引用商標とが「ゴールドパワー」の称呼を共通にする類似の商標であるとして、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当ではない。

※）なお、別の引用商標による拒絶理由もあったが、補正により解消されている。
  

◆コメント
本審決のポイントは、本願商標「チオビタゴールドα＼ゴールドパワー」の要部が「ゴールドパワー」とならないと判断されたことである。
本審決説示のとおり、著名商標である「チオビタ」部分をさしおいて、「ゴールドパワー」部分が着目されることはなく、妥当な審決であったと考える。

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◆理由：
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
称呼：「ゴールドパワー」
観念：「金の力」程の観念を生じる。

イ 引用商標について
引用商標は「プロポリス」と「Goldpower」の文字からなる。

「プロポリス」は、「ミツバチの唾液と松や栗の樹液が混ざったときにできる物質」の意味を有し、指定商品との関係では、商品の原材料を表すことから、自他商品の識別標識としての機能は、極めて弱い。

「Goldpower」は、「金の力」程の観念を認識させる。

これより、引用商標は、後半の「Goldpower」部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たす。

「Goldpower」部分からは、
　称呼：「ゴールドパワー」
　観念：「金の力」
が生じる。

ウ 本願商標と引用商標の類否について
外観：
相違する。

称呼：
共通にする。

観念：
共通にする。

よって、本願商標と引用商標とは、外観、称呼、観念を総合して考察すれば、類似の商標であり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)請求人の主張について
請求人は、引用商標を構成する各語は、指定商品との関係ではいずれも自他商品識別力が弱いことから、一体不可分の造語として認識され、引用商標からは、「プロポリスゴールドパワー」の一連の称呼のみが生じる旨主張する。

しかし、引用商標は、「プロポリス」が指定商品の原材料を表すのに対し、「Goldpower」は、「金の力」程の意味合いを認識させるものであり、請求人提出の資料等から「Goldpower」が指定商品との関係において、特定の品質等を表示するものとはいい難い。

また、「Goldpower」が引用商標の指定商品の品質等を表すものとして一般に使用されている事実も見あたらない。

よって、引用商標は、「Goldpower」が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る。

  
◆コメント
本審決のポイントは、引用商標「プロポリスGoldpower」の要部が「Goldpower」と認定されたことである。
請求人は、「Goldpower」の語も指定商品の品質等を表すものとして識別力が弱い旨主張しているが、退けられている。
筆者は、むしろ「プロポリス」は指定商品の需要者等に広く知られているわけではなく、商品の原材料を表してるわけではなく、識別力がある旨、主張すべきであったと考えるがいかがだろうか。

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