◆対象商標:
「はーいお茶」 (ロゴ化、縦書き 詳細は公報参照)
第30類「茶」
◆種別と審判番号:
異議の決定
異議2016-900235
◆審決日:
2017/06/05
◆関連条文:
商標法第4条第1項第15号
◆引用商標
1 登録第5471443号商標 「おーいお茶」 (ロゴ化、縦書き 詳細は公報参照)
2 登録第5471444号商標 「おーいお茶」 (ロゴ化、縦書き 詳細は公報参照)
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
登録第5858715号商標の商標登録を取り消す。
◆理由:
1 申立人商標の著名性
申立人商標の使用期間、申立人商標を付したペットボトル入りの緑茶飲料の販売本数、等、申立人の主張および提出した証拠から、申立人商標は、申立人の業務に係る商品「緑茶飲料」を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものということができる。
2 本件商標と申立人商標の類似性
(1)本件商標
称呼:「ハーイオチャ」
観念:「お茶を差し出すときの掛け声」
(2)申立人商標
称呼:「オーイオチャ」
観念:「お茶を請うときの掛け声」
(3)本件商標と申立人商標の対比
ⅰ)
本件商標と申立人商標は、書体が相違するものの、いずれも縦書きにした「お茶」の文字を大きく表し、右上又は上部に、感動詞の「はい」又は「おい」の「は」又は「お」に続けて、それぞれ長音記号又は波ダッシュを配して、「はーい」又は「おーい」と表して縦書きにし、これらの感動詞を「お茶」の文字部分に比べ、やや小さく表してなる点において、構成の軌を一にするものであり、外観上極めて近似した印象を与える。
ⅱ)称呼
本件商標「ハーイオチャ」の称呼と申立人商標「オーイオチャ」の称呼は、語頭において「ハ」の音と「オ」の音に差異を有し、これらの音が、その帯同する長音とともに、音質、発音の方法等において相違するものの、他の音をすべて同じくするものである
ⅲ)観念
本件商標より生ずる「お茶を差し出すときの掛け声」なる観念と申立人商標より生ずる「お茶を請うときの掛け声」なる観念は、申立人商標が呼びかけであるのに対し、本件商標はそれに応答するものであって、類似するものとはいえないとしても、呼応する掛け声として強い関連性を有するといえる。
よって、本件商標と申立人商標は、外観及び称呼において、かなり近似する商標といえるばかりでなく、観念上も強い関連性のある商標であって、両商標を総合的に考察すれば、類似性の程度は高いというべきである。
これより、本件商標に接する需要者は、申立人商標を直ちに想起・連想し、本件商標を申立人商標の姉妹ブランドであるかのように誤信するおそれがあるということができるから、本件商標をその指定商品について使用するときは、該商品が申立人又は申立人と業務上密接な関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 本件商標権者の意見について
本件商標権者は、意見書において、本件商標と申立人商標との類否は「『はーい』と『おーい』の語に限定されるべきである。そして、『はーい』と『おーい』の両者間には類似性は存在しない。」旨主張している。
しかし、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとした理由は、その前提として、申立人商標の著名性を認めたうえで、本件商標をその指定商品に使用した場合には、需要者は、申立人商標を直ちに想起・連想し、本件商標を申立人商標の姉妹ブランドであるかのように誤信するおそれがあるということができるから、該商品が申立人又は申立人と業務上密接な関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。、
また、本件商標も申立人商標も、それぞれ、同一の書体をもって外観上まとまりよく表されており、称呼も一気に称呼され得るものであるから、その構成部分全体をもって看取されるとみるのが相当であって、これを殊更「はーい」又は「おーい」の文字部分を取り出して観察するべき事情は見いだせない。
よって、本件商標権者の主張は、採用することができない。
◆コメント:
本件商標は、いわゆるパロディ商標と言って良いだろう。
本件商標権者は、指定商品との関係で、本件商標と引用商標の類否判断は各々の要部である「はーい」と「おーい」に限定すべき旨主張しているが、本審決では両商標は類似であるとの判断はしておらず、類似性の程度が高いと判断するにとどまっている。
よって、本審決では商標法第4条第1項第11号の該当性については判断しておらず、商標法第4条第1項第15号についてのみ判断している。
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