◆理由：
1　「商標法第4条第1項第15号の該当性について
(1)「三井不動産」及び「三井」標章の著名性の程度について
請求人の提出した証拠等により、「三井」の文字からなる商標は、本件商標の登録出願前より、三井グループに属する企業の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、取引者、需要者間に広く認識され、全国的に著名となっていたと認められる。

さらに、請求人の使用する「三井不動産」の商標は、本件商標の登録出願前より、不動産分野における取引者、需要者の間に広く認識され、全国的に著名となっていたと認められる。 

(2)本件商標の構成について
「三井」の文字部分は、三井グループに属する企業の使用に係る著名な商標と同一文字よりなり、強い識別性を有する部分であるのに対し、「総建」の文字部分は、その指定役務「不動産事業の管理」に係る業界においては、「総建」の文字を含む事業者が日本全国に相当数存在するものであって(甲46)、「不動産」事業を行う会社等の一つの業種又は業態等を表すものとして理解されるから、自他役務の識別標識としての機能を有しない部分である。

(3)混同を生ずるおそれについて
本件商標は、三井不動産グループに属する企業の著名な商標「三井不動産」の構成中の「不動産」部分を同事業を行う会社等の一つの業種又は業態等を表すものとして理解される「総建」に変更したにすぎないものであるから、これに接する需要者は、三井不動産グループに属する企業の使用に係る商標を連想するばかりでなく、また、三井グループに属する企業の使用に係る著名な商標「三井」の文字と同一の文字をその構成中に含むので「三井」の文字部分が強く印象づけられ、これを本件商標中の要部として三井グループに属する企業の使用に係る商標を連想するというのが相当である。

よって、本件商標は商標法4条1項15号に該当する。

◆コメント
著名財閥グループの一部を用いた商標であったが、出所の混同のおそれがあるということで無効審決となった。
たしかに、本件商標にふれた需要者は著名財閥グループに何らかの関係を有すると想起するであろう。

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◆理由：
1)本願商標と引用商標の類否
本願商標と引用商標とは、称呼が共通であり、外観が相紛れるおそれのあるため、全体として互いに類似する商標である。

2)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本願商標の指定商品は補正により、
「バルブに搭載する業務用電気駆動式・空圧駆動式バルブ開閉用アクチュエータ(陸上の乗物用のものを除く。)」(第7類)
となった。

本願商標の指定商品中「バルブに搭載する業務用電気駆動式・空圧駆動式バルブ開閉用アクチュエータ(陸上の乗物用のものを除く。)」(以下「本願商品」という。)と引用商標の指定商品中「二輪自動車・自転車の歯車」(以下「引用商品」という。)との類否について、検討する。

本願商品：
主に産業機械メーカー若しくはその部品メーカー又はバルブメーカー等で製造され、搭載対象であるバルブのメーカーに販売される。

引用商品：
主に歯車専門メーカー又は二輪自動車若しくは自転車のメーカーで製造され、主な需要者である二輪自動車又は自転車のメーカー、整備業者及び一般ユーザーに販売される。

そうすると、本願商品と引用商品とは、商品の性質、用途、形状、生産過程、販売過程及び需要者の範囲を共通にするとはいえないものであり、完成品と部品の関係にもない。

これより、本願商品と引用商品とは、互いに類似するとはいえない商品である。

よって、本願商標と引用商標は非類似の関係にあり、商標法4条1項11号に該当しない。

◆コメント
製造者および需要者の比較をして商品非類似を導き出しており、納得感のある審決となっている。

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◆理由：
本願商標全体として「はやく小顔にする」程の意味合いを想起する場合もあるとしても、これが、本願商標の指定役務との関係において、特定の役務の質、効能を、直接的かつ具体的に表したものとはいい難い。

また、本願商標の指定役務を扱う分野において、「Speed(スピード)」及び「小顔(コガオ)」の組み合わせからなる文字が、役務の質等を表すものとして、取引上、一般に使用されている事実は見当たらない。

これより、本願商標は役務の質等を普通に用いられる方法で表示するものとはいえず、また、役務の質について誤認を生じさせるおそれもない。

よって、商標法3条1項3号および商標法4条1項16号に該当しない。

◆コメント
本審決のとおり「Speed小顔」から役務の質を具体的に想起するのは困難であろう。

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◆理由：
1）本願商標
称呼：「モーフィー」
観念：特定の観念を生じない。

2）引用商標
称呼：「モルフェ」
観念：特定の観念を生じない。

3）両商標の類否
ⅰ）外観
欧文字と片仮名の文字種が相違し、また、全体の文字数もそれぞれ6文字と4文字と異なることから、本願商標と引用商標とは、構成全体の外観において区別できる。

ⅱ）称呼
本願商標の称呼「モーフィー」と引用商標の称呼「モルフェ」を比較すると、両称呼はその音数及び音構成において明らかな差異を有するものであるから、両者は、それぞれを一連に称呼しても、称呼上、互いに聞き誤るおそれはない。

ⅲ）観念
観念上、相紛れるおそれはない。

よって、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であり、本件商標は商標法4条1項11号に該当しない。

◆コメント
筆者の初見では本願商標「MORPHE」について「モルフェ」の称呼が生じると考えた。しかしん、本審決では「モーフィー」のみの称呼が生じるとの判断がなされた。

ただ、筆者の初見のように仮に本願商標の称呼を「モルフェ」と認定したとしても、外観において明らかに異なるので、商標法4条1項11号には該当しなかったであろう。

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◆理由：
1)引用商標の周知性について
申立人の主張および提出した証拠から、申立人商品が、本件商標の登録出願時はもとより、その登録査定時においても、申立人の業務に係る商品として、我が国の「Wine」の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたと認めるに­る事実は見いだせない。

2)商標法4条1項11号該当性
ア 本件商標
本件商標は、「JULES」と「TAYLOR」という、いずれも一種の造語と認識される各文字をまとまりよく一体的に表したものであって、その構成全体をもって一体不可分の商標として認識される。

よって
　称呼：「ジュールズテイラー」
　観念：特定の観念を生じない
となる。

イ 引用商標
称呼：「テイラーズ」
観念：「TAYLOR(テイラー)のもの」
となる。

ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。

よって、本件商標は、商標法第4条1項11号に該当しない。

3)商標法第4条1項10号及び同項15号該当性
引用商標は、上記のとおり周知著名性は認められず、また、本件商標と引用商標とは、非類似の商標である。

よって、商標法第4条1項10号に該当しない。

また、出所の混同を生ずるおそれはないことから商標法第4条1項15号に該当しない。

◆コメント
妥当な審決であったと筆者は考える。

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