◆対象商標:
「充実大豆」
第30類「大豆を使用した菓子」等
◆種別と審判番号:
異議の決定
異議2016-900173
◆審決日:
2017-01-12
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
商標法第4条第1項第11号
商標法第4条第1項第15号
◆引用商標:
1 登録第3298811号商標 「充実」 (図形商標 詳細は公報参照)
2 登録第5557287号商標 「充実野菜」
登録第5851504号商標の商標登録を維持する。
◆理由:
1 本件商標について
称呼:「ジュウジツダイズ」
観念:特定の観念は生じない。
2 商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は、構成全体をもって一体不可分の一種の造語として理解、認識されるとみるのが相当であって、「内容が満ちて豊富な大豆」程の意味合いを想起するとしても、それが本件商標の指定商品の具体的な品質を表示するものとはいい難い。
また、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、「充実大豆」の文字が商品の品質を表すものとして、使用されている事実及び取引者、需要者が、商品の品質を表すものと認識し得るという特段の事情も見いだせない。
よって、本件商標は、商品の品質などを表示する標章のみからなるものとはいえないから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)引用商標1
称呼:「ジュウジツ」
観念:「中身がいっぱい入っていること。内容が満ちて豊富なこと。」
(2)本件商標と引用商標1の類否
外観:
相紛れるおそれはない。
称呼:
両称呼は「ダイズ」の音の有無において明らかに相違するから、それぞれを一連に称呼しても、互いに聴き誤るおそれはなく、両者は、称呼上、明確に聴別することができる。
観念:
観念上、比較できないとしても類似するとはいえない。
これより、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標であり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標と引用商標2の類否
ⅰ)引用商標2
引用商標2は、同書、同大、等間隔でまとまりよく表されており、構成全体をもって一体不可分の一種の造語として理解、認識される。
よって、
称呼:「ジュウジツヤサイ」
観念:特定の観念を生じない
となる。
ⅱ)両商標の類否
外観:
後半部分の「大豆」と「野菜」の文字に差異を有しており、外観上、相紛れるおそれはない。
称呼:
明確に聴別し得る。
観念:
観念上、比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標2とは、非類似の商標である。
(2)引用商標2の著名性について
引用商標2は、商標法第3条第2項の適用を受けて登録されたものであり、その審査課程で提出された意見書によれば、引用商標2は、「飲料用野菜ジュース」について、使用された結果、需要者の間に広く知られているものと認められる。
これより、引用商標2が「飲料用野菜ジュース」を表示するものとして、需要者の間において広く知られているとしても、本件商標と引用商標2は、非類似の別異の商標であるから、その出所について混同を生じるおそれはなく、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
◆コメント
本審決のポイントの一つは、商標法第3条第1項第3号の判断であったと考える。
本審決においては、「充実大豆」が実際に使用されていなかった点が判断に大きく影響を与えたものと思われる。