◆理由：
1）申立人使用商標の周知性
申立人の提出した証拠には、我が国における市場規模がどの程度なのか、該販売本数がどの程度のシェアを占めることになるのか等、その数値の多寡を推し量り評価すべき根拠となる数値は何ら示されていない等、周知著名との認定はできないなっていたということはできないものである。

2）本件商標と申立人の使用商標との類否
①本件商標
　称呼：「クリーンオリジナル」
　観念：特定の観念を生じない。

②申立人使用商標
　称呼：「クリーン」
　観念：「きれいなさま。清潔なさま」

③類否
外観、称呼及び観念のいずれの点においても互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。

3）商標法4条1項10号の該当性
申立人使用商標は、周知著名とはいえず、また本件商標と申立人使用商標は非類似の商標であるため商標法4条1項10号には該当しない。

◆コメント
仮に申立人商標の周知著名性が認められたとしても、両商標は明らかに非類似であるので本件審判請求は認容されなかったであろう。

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◆理由：
「HONEY」及び「GOLD」の各欧文字は、「はちみつ」及び「金、金色、黄金色」の意味を有する平易な英単語であり、また、これらの語を語源とする外来語の「ハニー」及び「ゴールド」も同様の意味を有する語として親しまれている。

また、「蜂蜜の色のような金色」を表すものとして「Hony Gold」があり、本願の指定商品に属する腕時計のみならず、これと同様に身体につけて使用する服飾品や化粧品を含め幅広い商品分野において、その商品の色彩が蜂蜜の色のような金色であることを表す語として、普通に使用されている実情がある。

よって、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該商品の品質(色彩)を表示するものとして認識するにとどまるとみるのが相当であるから、本願商標は、自他商品の識別機能を有しないというべきである。

◆コメント
使用実態として本願商標を構成する語が普通に使用されており、妥当な判断であると考える。

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◆理由：
1)本件商標
称呼：「アプライドインサイツ」
観念：特定の観念を生じない。

2）引用商標
①引用商標1
称呼：「インサイツ」
観念：「洞察力、眼識、識見」

②引用商標2
「Applied」と「Biosystems」は同じ書体により、外観上まとまりよく表されていることから、一体不可分のものとして認識される。
　称呼：「アプライドバイオシステムズ」
　観念：特定の観念を生じない。

3)本件商標と引用商標との類否
①本件商標と引用商標1との類否
外観、称呼及び観念のいずれの点についても、相紛れるおそれのない非類似の商標

②本件商標と引用商標2との類否
観念において比較できないとしても、外観及び称呼が非類似であるから、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標

よって、本件商標は商標法4条1項11号に該当しない。

◆コメント
妥当な審決であったと考える。

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◆理由：
1）本件商標
要部は「べっぴん」

2）引用商標
「まるで新築 べっぴんさんリフォーム」の「まるで」に続く「新築」の文字が名詞であり、その後がスペースで区切られるため、「まるで」は、連用修飾語として、「新築のようだ」の省略されている「ようだ」の部分を修飾する単語であると解される。
また、「べっぴんさん」は、要部となる部分であるが、「さん」は敬称であり、特段に識別力はなく、「リフォーム」は、慣用的に役務を表す普通名詞である。

3）商標法4条1項11号及び同15号の該当性
引用商標における「まるで新築」の部分は、「べっぴんさんリフォーム」を修飾して、役務の質を表現する「形容詞的文字」の性格を有する文字部分であるから、「べっぴんさんリフォーム」は、自他役務識別機能を果たし、需要者、取引者は、申立人の役務として認識するものである。

また、引用商標は、「まるで新築」と「べっぴんさんリフォーム」をスペースによって明白に区切っているため、分離して認識される。

そうすると、引用商標と本件商標との比較は、「べっぴんさんリフォーム」と「べっぴんリフォーム」において判断される必要がある。

さらに、引用商標の構成文字全体から生ずる「マルデシンチクベッピンサンリフォーム」の称呼は、17音と冗長なものであることから、よどみなく一連に称呼し得るものとはいい難い。

これを需要者、取引者が簡略に表現した場合でも、修飾的な形容詞的文字を省略する傾向は否定できず、引用商標について、需要者によって簡略化されて認識される部分は、「べっぴん」又は「べっぴんさん」の文字部分である。

そして、「べっぴんさん」とは、美人のことを意味し、「べっぴん」との観念上の変化は発生しないものであるから、本件商標と引用商標とは、「べっぴん(さん)」部分において、観念が一致している。

よって、本件商標は、引用商標と同一の観念を生ずるものであり、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものである。

◆コメント
筆者の初見での予想とは逆の結論となった。
外観は明らかに異なり、称呼も「ベッピン」「ベッピンサン」（引用商標の称呼）と異なり、観念同一で商標法4条1項11号に該当するとの判断であった。
審判官は4条1項11号と判断するのであれば、もう少し詳細な説示が必要だったのではないだろうか。
また、4条1項11号以上に4条1項15号に該当する理由も不­していると感じる。出願人の納得感向上のためにも同様に詳細な説示が必要だったであろう。

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