◆対象商標:
「天のや」 (図形商標、詳細は公報参照)
第30類「菓子,パン,サンドイッチ,弁当」等
◆種別と審判番号:
異議の決定
異議2016-900230
◆審決日:
2017/05/23
◆関連条文:
商標法第4条第1項第7号
商標法第4条第1項第10号
商標法第4条第1項第15号
商標法第4条第1項第19号
◆使用商標
(1)天図形を白抜きで表してなる赤色の矩形と筆書き風の「天のや」の文字を黒色で表してなるもの (詳細は公報参照)
(2)天図形を白抜きで表してなる紺色の矩形と筆書き風の「天のや」の文字を紺色で表してなるもの (詳細は公報参照)
(3)天図形を白抜きで表してなる黒色の矩形と上記(1)及び(2)の構成中の「天のや」の文字を縦書きで表示してなるもの (詳細は公報参照)
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
登録第5847420号商標の商標登録を維持する。
◆理由:
1 使用商標の周知・著名性について
申立人提出の証拠からは、使用商標の周知著名性は認められない。
2 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人と本件商標権者との間で締結された合意書が存在し、当該合意書によれば、申立人は、本件商標権者に対し、「天のや」の名称を使用した商品の販売を認めるとともに、本件商標権者が自己の費用負担で、老舗AMANOYAの店舗及び老舗AMANOYAで販売されている「玉子サンドイッチ」その他の商品に関する商標を出願、登録することに同意しているのであるから、本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあったとはいえない。
また、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的であるなど他人に不快な印象を与えるような構成のものではなく、申立人が提出した証拠からは、本件商標が、社会の一般的道徳観念に反するもの、法律により禁止されているもの又は国際信義に反するものとすべき事情も見当たらないから、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
上記のとおり、使用商標の周知著名性は認められず、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記のとおり、使用商標の周知著名性は認められないことから、その商品の出所について混同を生ずるおそれはなく、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記のとおり、使用商標の周知著名性は認められない。
また、上記のとおり、本件商標権者と申立人との間で、「天のや」の名称の使用や商標の出願、登録に関する本件合意書が締結されているから、かかる事情において、本件商標権者が商標法第4条第1項第19号にいう不正の目的をもって本件商標の使用をするものとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
◆コメント:
本件商標の商標権者と申立人は、商標の使用および出願に関して合意の契約を締結している。
よって、本件商標と使用商標は類似の商標と言えるだろうが、使用商標の周知性もないことから拒絶をうつことはできないというのが実情であろう。
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