◆理由：
(1)本願商標
本願商標「alula」は、「小翼」等の意味を有する英語であるが、我が国においてはその意味合いで広く一般に知られているとはいえず、特定の意味合いを有しない造語と理解される。

また、これを称呼する場合には、我が国において親しまれたローマ字表記又は英語における発音に倣って称呼されるとみるのが相当である。

よって、
　称呼：「アルラ」
　観念：特定の観念を生じない
となる。

(2)引用商標
ア 引用商標1及び3について
称呼：「アーラ」
観念：特定の観念を生じない

イ 引用商標2及び4について
称呼：「アーラ」
観念：特定の観念を生じない

(3)本願商標と引用商標の類否について
ア 引用商標1及び3について
外観：
書体、構成文字数及び中間部の綴り(「lu」と「R」)を異にし、外観から受ける視覚的印象において、明確に区別できるというのが相当であるから、本願商標と引用商標1及び3とは、外観上相紛れるおそれはない。

称呼：
「アルラ」と、「アーラ」とを比較すると、3音からなる短い称呼のうちの1音を異にし、それぞれを一連に称呼するときは、語調、語感が相違するから、本願商標と引用商標1及び3は、称呼上相紛れるおそれはない。

観念：
観念上相紛れるおそれはない。

よって、本願商標と引用商標1及び3とは、非類似の商標である。

イ 引用商標2及び4について
外観：
図形の有無という明確な差異を有するから、相紛れるおそれはない。

また、文字部分のみが着目され、取引に資されたとしても、本願商標と引用商標2及び4の文字部分とは、上記アの判断と同様に、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。

これより、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。

  
◆コメント
引用商標の称呼について、筆者の初見では本願商標と同一の「アルラ」と認識していた。
「アーラ」のみの称呼しか生じないとした判断には疑問が残る。

審決公報はここをクリック。

登録第5872246号商標の商標登録を維持する。

◆理由：

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

称呼：「ジャンパック」

観念：特定の観念を生じない

イ 引用商標

引用商標「Jampack」は「いっぱいに満たす、・・・に詰め込む」といった意味を有する語として載録されているものの、我が国における英語の普及の程度に照らしてもなお、既成の英語として知られているとはいい難い。

これより、

　称呼：「ジャムパック」

　観念：特定の観念を生じない

となる。

ウ 本件商標と引用商標との類否

外観：

顕著な差異があり、明確に区別し得る。

称呼：

「ジャンパック」と「ジャムパック」の称呼を比較すると、両称呼は、第2音において、「ン」と「ム」の音の差異があるものの、該差異音は、いずれも通鼻音であって比較的響きが弱く、その位置するところも、響きの強い「ジャ」と「パ」の音の間であることから、それぞれを一連に称呼するときは、語調、語感が近似し、互いに聞き誤るおそれがあるといえる。

観念：

相紛れるおそれはない。

これより、本件商標と引用商標とは、称呼において聞き誤るおそれがあるものの、外観において顕著な差異があり、かつ、観念において類似するものではないから、これらを総合勘案すれば、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第10号該当性について

ア 申立人商標の周知著名性

申立人は、申立人は、「JAN SPORT」「JANSPORT」「ジャンスポーツ」を根拠に商標法第4条第1項第10号に該当する旨、主張している。

申立人提出の証拠等によると、申立人商標の周知著名性は認められない。

イ 本件商標と申立人商標との類似性等

外観：

明らかに異なる。

称呼：

明らかに異なる。

観念：

比較することが出来ない。

よって、両商標は非類似の商標である。

これより、申立人商標の周知著名性は認められず、本件商標と申立人商標は非類似であることから、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当しない。

◆コメント：

本件商標は図案化されており、看者にかなりのインパクトを与えると思われるため、称呼が近似していたとしても識別しうるとした本審決の判断は極めて妥当であると考える。

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登録第5897141号商標の商標登録を維持する。

◆理由：

(1)本件商標について

本件商標は、図形を背景にし、その中央に「madras」の欧文字を横書きして、まとまりよく、一体的に表してなるものである。

本件商標の「madras」は「インド南東部の都市チェンナイ(Chennnai)の旧称、(主に英)辛口の肉入りカレー」等の意味を有する英語であるが、我が国において広く親しまれた語とはいえないから、特定の観念を生じない。

よって、

　称呼：「マドラス」

　観念：特定の観念を生じない

となる。

(2)引用商標について

称呼：「マドラ」

観念：特定の観念を生じない

(3)本件商標と引用商標の類否について

外観：

両者は、図形の有無、構成文字が異なり、外観上、明瞭に区別し得る。

称呼：

両称呼は、語尾において、「ス」の音の有無という差異を有するところ、本件商標が4音であって引用商標が3音という、共に短い音構成からなる両称呼における該差異音が及ぼす影響は、小さいものとはいえず、それぞれを称呼するときは、全体の語調、語感が相違し、十分に聴別することができるものである。

観念：

観念上、相紛れるおそれはない。

よって、両商標は非類似であり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

◆コメント：

3音と4音からなる商標で語尾の有無の差のみだと、非類似の判断は妥当であると考える。

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登録第5890277号商標の商標登録を維持する。

◆理由：

(1)本件商標について

称呼：「エーイー」

観念：特定の観念を生じない

(2)引用商標について

文字部分と図形部分とで構成されており、視覚的に分離して看取されるというべきであって、それぞれが自他商品の識別標識として機能するものといえる。

図形部分は、左側に配された文字部分の頭文字「A」と「E」をモチーフとして表すものであるとしても、かなり図案化がされており、一見して「A」と「E」とをモチーフとしていると認識することは困難である。

よって、文字部分から「オートクレーブエンジニアズ」の称呼が生じる以外に、該引用図形部分から特定の称呼が生じるとはいえない。

(3)本件商標と引用商標の類否について

外観：

明らかにその構成態様が異なり、外観上相違する。

称呼：

本件商標から「エーイー」の称呼が生じるのに対し、引用商標から生じる称呼は「オートクレーブエンジニアズ」のみであるところ、両称呼は、その構成音、音数において大きく相違するものであるから、称呼上、相紛れるおそれはない。

観念：

相紛れるおそれはない。

これより、本件商標と引用商標は、非類似の商標であり、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。

◆コメント：

本審決は、引用商標の図形部分が「AE」と看取されるかどうかの判断がポイントの一つであった。

当該図形部分は、かなり図案化されており、本審決説示のとおり「AE」とは看取出来ないとの判断が妥当であったと考える。

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◆理由：
(1)引用商標の周知性について
申立人は、第32類及び第39類の区分に属するマーケットにおいて世界的に有名な企業である旨主張しているが、そのことを裏付ける証拠の提出はなく、引用商標の周知・著名性の判断に使用できる程度の客観的な証拠の提出も見当たらない。

よって、引用商標の周知著名性は認められない。

(2)本件商標と引用商標の類否について
ア 本件商標
本件商標は、「WILD」と「WOLF」を「＆」を介して結合したものと容易に理解させるものであって、これに接する取引者、需要者が、殊更「＆」の文字を省略して取引に資するとはいい難く、むしろ、その構成全体をもって一体不可分のものとして認識し、把握されるとみるのが相当である。

これより、
　称呼：「ワイルドアンドウルフ」
　観念：特定の観念を生じない
となる。

イ 引用商標
引用商標の「THE」の文字が英語の定冠詞として看取、理解され、また、「COMPANY」の文字が「会社」を意味する場合があるとしても、かかる構成において、その構成中の「WILD WOLF」の文字部分のみが取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとは認められず、他に構成中の「WILD WOLF」の文字のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。

よって、引用商標は、全体として不可分一体のものと認識される。

これより、
　称呼：「ザワイルドウルフカンパニー」
　観念：特定の観念を生じない
となる。

ウ 本件商標と引用商標との類否
外観：
両商標は、「WILD」及び「WOLF」の文字を共通にするものであるが、両者は、「＆」の有無並びに「THE」及び「COMPANY」の文字の有無という顕著な差異を有するから、外観上、十分に区別することができるものである。

称呼：
両称呼は、その構成音及び音数に明らかな差異があることから、両者は、称呼上、明確に聴別し得るものであり、相紛れるおそれのないものである。

観念：
観念上、相紛れるおそれはない。

これより、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標である。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記のとおり、引用商標の周知著名性は認められず、両商標は非類似の商標であることから、その出所について混同を生ずるおそれはなく、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

  
◆コメント
本件商標のように英単語2語を「＆」で結合したものは、個別具体的な判断になるが、一体不可分のものとして認識、把握されると判断される傾向にあるというのが筆者の印象である。

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