登録第5897330号商標の商標登録を維持する。

◆理由：

1 引用商標の周知性

申立人の提出した証拠等からは、引用商標を付した腕時計の実際の販売台数、売上げ、シェア、広告宣伝の方法・回数・内容等を確認できず、我が国において周知性を獲得していたと認めることはできない。

2 商標法4条1項15号該当性

上述のとおり、引用商標は、周知性を獲得していたものと認めることはできず、また引用商標自体の識別機能が高いものではないため、本件商標をその指定商品中「キーホルダー」に使用した場合、申立人の業務に係る商品「腕時計」と出所の混同を生ずるおそれがあるものとは認められない。

よって、商標法4条1項15号に該当しない。

◆コメント：

本審決では、商標法4条1項15号に該当しない理由として、引用商標が周知性を獲得していないことの他に、引用商標自体の識別機能が高いものではない点を挙げている。

たしかに、引用商標「Flagship」のようにそれ自体の識別機能が高くないと、需要者等が出所の混同を招くおそれは少なくなるであろう。

審決公報はここをクリック。

 
◆理由：
本願商標の「GOTHAM」は、我が国において一般に知られている語であるとはいい難く、これに「都市」を意味する「CITY」と、欧文字部分の読みを表した「ゴッサムシティ」の片仮名を結合した本願商標は、特定の観念を生じない一連の造語からなるものとみるのが相当である。

また、「GOTHAM CITY」(ゴッサムシティ)の語は、「バットマン」に登場する架空の都市名であることが認められる。

我が国においても、上記「バットマン」の映画等は、人気のシリーズであることはうかがえるが、「GOTHAM CITY」(ゴッサムシティ)の語は、これらの映画やDVDの内容紹介文において登場する程度であって、該語が特に顕著に宣伝広告等に使用されている事実は確認できない。

そうすると、「GOTHAM CITY」(ゴッサムシティ)の語は、「バットマン」に登場する都市名を表すものとして、映画ファンの間においては一定程度知られているということはできるとしても、我が国において広く一般に知られているものということはできない。

また、本願商標の指定商品は、被服や身飾品、かばん類等であるところ、これらの商品と、映画や漫画等の娯楽分野の商品・役務とは、製造販売者・提供者、製造販売場所・提供場所、流通経路及び用途において共通するものとはいい難い。 

これより、「GOTHAM CITY」(ゴッサムシティ)の語が、我が国における本願商標の指定商品の一般的な需要者の間に広く認識されるに至っていると認めることはできない。

よって、商品の出所について混同を生ずるおそれはなく、商標法4条1項15号に該当しない。

◆コメント
筆者も「GOTHAM CITY」(ゴッサムシティ)の語の存在を認識していなかった。
審決にも説示してあるように、被服、身飾品、かばん類の需要者に周知であるとはいえないであろう。

審決公報はここをクリック。

 
◆理由：
本願商標の「BABY」及び「ベビー」が「赤ん坊」の意を有する語であり、「SIGNS」及び「サイン」が「合図」、「記号」、「信号」、「看板」及び「署名」等の複数の意を有する親しまれた語であるとしても、これらを結合してなる「BABY SIGNS」及び「ベビーサイン」の文字が、商品の特定の品質を直接的かつ具体的に表示したものとして直ちに理解されるとはいい難い。

また、本願の指定商品を取り扱う業界において、「BABY SIGNS」又は「ベビーサイン」の文字が、商品の品質を表示するものとして、取引上、普通に採択、使用されているという実情もなかった。

これより、本願商標は、その構成全体をもって特定の語義を有することのない一種の造語として認識されるとみるのが相当である。

よって、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ、商品の品質について誤認を生ずるおそれもないというべきである。

◆コメント
商標法3条1項3号に該当しないと判断された商標は、特定の商品の品質を具体的に想起できそうで、できないというものが多いと感じている。
本件も、具体的に想起できそうできないものの一つではないだろうか。

審決公報はここをクリック。

 
◆理由：
1)本願商標
本願商標は、外観上まとまりよく一体的に表されてなり、そのいずれかが、本願の指定商品との関係において、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとはいい難い。

また、「au nom de la rose」以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないともいえず、その構成全体をもって把握、認識されるとみるのが自然である。

よって、
　「ローズナンバーオノンドゥラローズ」
の一連の称呼のみを生じる。

これより、本願商標と引用商標は称呼において明らかに聴別でき、互いに非類似の商標である。

◆コメント
審決公報等を参照いただけるとわかるが、本願商標の「au nom de la rose」の部分は「ROSE」「NUMBER」よりも小さい文字からなり、少なくとも「au nom de la rose」が分離されて識別されることはないだろう。

審決公報はここをクリック。

 
◆理由：
1)本願商標
称呼：「ヒサミツサロンパス」「ヒサミツ」「サロンパス」
観念：の「久光製薬株式会社のサロンパス」「久光製薬株式会社のロゴマーク」「(久光製薬株式会社の)サロンパス」

2)引用商標
称呼：「ヒサミツ」
観念：特定の観念を生じない。

3)本願商標と引用商標との類否
ⅰ）外観
全体の構成において、顕著な差異を有するものであるから、両商標は、外観上、明確に区別できる。

ⅱ）称呼
「ヒサミツ」の称呼が共通する。

ⅲ）観念ものである。
本願商標は、「久光製薬株式会社のサロンパス」、「久光製薬株式会社のロゴマーク」及び「(久光製薬株式会社の)サロンパス」の観念を生じるのに対し、引用商標は、特定の観念を生じないものであるから、両商標は、観念上、類似するところがないものである。

よって、本願商標と引用商標とは、「ヒサミツ」の称呼を共通にするとしても、その全体の外観が著しく相違し、観念においても類似せず、互いに非類似の商標である。

これより、本願商標は4条1項11号に該当しない。

◆コメント
本審決では言及されていないが、本願商標の「Hisamitsu」および「サロンパス」が周知著名であったため、特定の観念が生じ、その結果、引用商標とは非類似との判断となっている。

審決公報はここをクリック。