◆対象商標:
「KAWASAKI」
◆指定商品役務:
第12類「二輪自動車」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2017-14202
◆審決日:
2018/03/13
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
商標法第3条第1項第4号
商標法第3条第2項
原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
◆理由:
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標の「KAWASAKI」の文字が、「神奈川県川崎市」を意味し、これを表示するものとして、一般に広く採択、使用されている事情がある。
そうすると、本願商標は、「KAWASAKI」の欧文字を標準文字で表してなるにすぎず、神奈川県川崎市を表示するものと容易に需要者に認識させるものであるから、本願商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、その商品が神奈川県川崎市で製造、販売されたものであること、すなわち、商品の産地、販売地を表示したものと認識させるものである。
これより、本願商標は、神奈川県川崎市で製造、販売された商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第1項第4号該当性について
日常の商取引において姓氏を表す場合には、必ずしも漢字のみに限らず、平仮名、片仮名又は欧文字で表示する場合も決して少なくないことからすれば、本願商標「KAWASAKI」の文字は、姓氏の「川崎」を欧文字で表記したものと容易に理解されると判断するのが相当である。
また、「川崎」の姓は、我が国においてありふれた氏と認められる。
これより、本願商標は、ありふれた氏である「川崎」を欧文字で表したものというべき商標であるから、ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。
(3)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標を「二輪自動車」について、昭和35年(1960年)から長年にわたり使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるものであるから、「二輪自動車」について、商標法第3条第2項の規定により商標登録が認められるべきである旨を主張している。
請求人提出の証拠等から、本願商標は、長年使用された結果、取引者、需要者が請求人の業務に係る二輪自動車であることを認識するに至ったものと認められる。
したがって、本願商標は、「二輪自動車」について、商標法第3条第2項が規定する要件を具備するものというべきである。
(4)まとめ
以上より、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第4号に該当するものの、同条第2項の規定により、商標登録を受けることができるものである。
◆コメント
「KAWASAKI」は我が国においては、地名のみならず、氏としてもありふれたものというのは、確かにそうである。
商標法第3条第2項の要件具備の判断においては、確かに1960年から半世紀以上も使用しており、認知度も行って以上であることから、具備しないと判断する選択肢はなかったであろう。
妥当な審決であったと考える。