◆対象商標:
「ゴールドA微粒」
◆指定商品役務:
第5類「微粒状の風邪薬」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2015-5797
◆審決日:
2016-02-15
◆関連条文:
商標法第3条第1項第6号
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
本願商標は、その構成において、「金、黄金」、「(金のように)貴重なもの、高貴なもの、素晴らしいもの」等の意味を有する語として、広く知られている「ゴールド」の文字、欧文字の「A」及び「非常に細かい粒」の意味を有する語である「微粒」の文字とを結合したものと容易に認識させるものである。
そして、その構成中の「微粒」の文字は、本願の指定商品との関係において、商品の形状を表すものと理解させるものである。
ところで、本願の指定商品を含む風邪薬を取り扱う業界においては、各メーカーから、ある特定のシリーズ商品名のもと、風邪の症状に対する効能・効果、成分の種類・分量、形状等が異なる商品が各種販売されているところ、特定のシリーズ商品について、例えば「ゴールドA錠」、「ゴールド顆粒」、「K錠」のように、「ゴールド」の文字、欧文字又は商品の形状を表す文字を組み合わせたもの、あるいはそれぞれ単独で、シリーズ商品に属する他の形状、成分が異なる商品と区別する表示として、シリーズ商品名の後に付加されている事実が数多く認められる。
加えて、医薬品を取り扱う業界においては、商品名の後に付加されている欧文字は、剤形や成分名に由来したり、以前販売した商品と区別するため等に用いられているとの事実も認められる。
そうすると、「ゴールド」の文字、欧文字及び商品の形状を表す文字を組み合わせてなる本願商標は、その指定商品に使用された場合には、これに接する取引者、需要者は、取引上一般に用いられる、形状や成分が異なる商品同士を区別する表示として採択された文字の組合せの一種であると理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を有するものとはいえず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
◆コメント:
同一の使用実例がないにも関わらず商標法第3条第1項第6号に該当すると認められた案件である。
本件は、近似した使用実例もあり、妥当な判断だったと言えるであろう。