◆対象商標:
「Orage Rouge」
第3類
◆種別と審判番号:
無効の審決
無効2016-680002
◆審決日:
2016/12/19
◆関連条文:
商標法第4条第1項第16号
本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
◆理由:
1 商標法第4条第1項第16号該当性について
(1)本件商標について
本件商標「Orage Rouge」の「Orage」の文字は、我が国において最も多く使用されている外国語である英語の成語にはないが、相当程度親しまれているフランス語では、「雷雨、にわか雨、激怒、激動」等の意味を有する語である。
また、「Rouge」は、「紅、口紅、ほお紅」を意味する英語の成語である一方、前半の「Orage」の文字がフランス語と目されることと、「Rouge」の文字自体が、我が国において「赤い、赤くなった、赤熱した、共産主義の、口紅」を意味するフランス語としても親しまれていること、そして、本件指定商品に含まれる化粧品を取り扱う業界においては、フランス語の文字が商標として多く採択使用されている事情にかんがみれば、本件商標に接する取引者、需要者は、商標全体としてフランス語の文字からなるものと認識、理解するとみるのが相当である。
そして、本件商標の構成各文字は、いずれも同じ書体で外観上まとまりよく一体的に表されており、また、全体の構成文字より生ずると認められる「オラジュルージュ」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得る。
そうすると、たとえ本件商標の構成中「Rouge」の文字が、「口紅、頬紅」等を表示するものとして、化粧品関係の分野で使用されていることがあったとしても、かかる構成にあっては、特定の商品又は商品の品質、用途等を具体的に表示するものとして直ちに理解できるものとはいい難いことから、構成全体をもって一体不可分のものと認識、把握し、取引に当たるものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、一体不可分の一種の造語として認識、把握されるものであるから、ことさら、その構成中の「Rouge」の文字部分に着目して「口紅、頬紅」を認識することはないというべきであり、いずれの指定商品に使用しても商品の品質の誤認を生じるおそれはないというべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
(2)請求人の主張について
請求人は、「Rouge」又は「ルージュ」の文字は、化粧品業界において、「口紅」を意味するものとして使用され、また、構成中に該文字を含む多くの登録商標が指定商品を「口紅、頬紅」に限定している旨主張している。
しかし、上記のとおり、本件商標については、全体としてフランス語の文字からなる一体的なものとみるのが相当であり、フランス語における「Rouge」の語には、「赤い、赤くなった、赤熱した、共産主義の、口紅」等の意味を有することから、常に「口紅」を意味するものと認識されるとはいえない。
また、請求人が掲げる登録商標以外にも「Rouge」又は「ルージュ」の文字を構成中に有する登録商標が多く存在しており、それらは、指定商品を特に「口紅、頬紅」に限定することなく登録されていることからすれば、請求人の掲げる登録例をもって直ちに化粧品業界の実情を反映するものであるとまではいえないから、請求人の主張は採用することができない。
◆コメント
本件商標「Orage Rouge」に接した取引者、需要者は、その商品が口紅と一旦は推測するだろうが、断定することはなく、誤認を生じることはないだろうと筆者も考える。
審決公報はここをクリック。