◆対象商標:
「ZERO MILL」
第7類「化学機械器具としての分散機」
◆種別と審判番号:
無効の審決
無効2016-890026
◆審決日:
2016/11/01
◆関連条文:
商標法第4条第1項第11号
本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
◆理由:
1 本件商標
本件商標の構成文字は、同書、同大で、まとまりよく一体に表され、これから生じる「ゼロミル」の称呼も4音と短く、よどみなく一連に称呼し得る。
そして、本件商標は、視覚上も無理なく一体的に把握できるものであり、「ZERO」あるいは「MILL」の、いずれかの文字部分が独立して看者の注意を惹くような構成態様とはいえず、これらの文字のどちらかの部分が、特に強く支配的な印象を与える文字構成ということもできない。
また、「MILL」の文字が、「ひき臼、臼」などの意味を有するとしても、この構成及び称呼においては、この文字部分が指定商品の一般名称はもとより、品質、機能などを表示したものとして認識されることなく、むしろ、「ZERO MILL」の構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが自然である。
そうすると、本件商標は、その構成中「ZERO」の文字部分を分離抽出し他の商標と比較検討することが許されないものといわなければならない。
よって、
称呼:「ゼロミル」
観念:特定の観念を生じない
となる。
2 引用商標
称呼:「ゼロ」
観念:特定の観念を生じない
なお、請求人及び被請求人は、引用商標は「数字の0(ゼロ)」などの観念が生じる旨主張しているが、引用商標の構成中下段の片仮名「ゼロ」は上段の欧文字「XERO」の読みを特定したものとみるのが相当であって、「XERO」は特定の意味を有しない造語であるから、引用商標は、「数字の0(ゼロ)」など特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
3 本件商標と引用商標の類否
外観:
構成態様が明らかに異なり相紛れるおそれはない。
称呼:
両者は、4音と2音という構成音数の差異、語尾における「ミル」の有無の差異を有するから、明らかに聴別し得る。
観念:
相紛れるおそれはない。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。
◆コメント
本審決のポイントの一つは、本件商標「ZERO MILL」の要部が「ZERO」とは認定されずに一連一体の造語であるとされた点である。
確かに「MILL」が、「ひき臼、臼」などの意味を有したとしても、我が国において馴染みのあるごとはいえず、指定商品との関係で識別力が弱いとは言えないであろう。
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