◆対象商標:
「BIOACTYS」
第5類
◆種別と審判番号:
無効の審決
無効2010-680003
◆審決日:
2011/08/25
◆関連条文:
商標法第4条第1項第11号
商標法第4条第1項第15号
◆引用商標
(1)商標登録第1285827号 「ビオラクチス」
第5類「薬剤」
(2)商標登録第1479881号 「BIOLACTIS」
第5類「薬剤」
国際登録第988585号商標の指定商品中、第5類「medicated bath preparations , chemical preparations for medical or pharmaceutical use.」についての登録を無効とする。 その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする
◆理由:
1 商標法第4条第1項第11号該当性
ⅰ)本件商標
称呼:「ビオアクティス(ビオアクチス)」「バイオアクティス(バイオアクチス)」
観念:特定の観念を生じない。
ⅱ)引用商標1
称呼:「ビオラクチス」
観念:特定の観念を生じない。
ⅲ)引用商標2
称呼:「ビオラクチス」「バイオラクチス」
観念:特定の観念を生じない。
ⅳ)本件商標と引用商標1及び2の類否
ア)称呼
アー1)本件商標「ビオアクチス」と引用商標1及び2「ビオラクチス」
第3音の「ア」と「ラ」の音の差異のみであり、後者の「ラ」が、前者の「ア」を母音として帯同し、互いに音感において近似するため、これを一連に称呼するときは、互いに紛らわしいものと認められる。
アー2)本件商標「バイオラクチス」と引用商標1及び2「バイオアクチス」
第4音の「ア」と「ラ」の音の差異のみであり、前記同様互いに相紛らわしい。
イ)外観
本件商標と引用商標1及び2とは、外観上、差異を有するものの、いずれも外観上の顕著な特徴を有するものではない。
ウ)観念
両者はいずれも特定の観念を生じないことより、比較すべきもないものである。
よって、本件商標と引用商標1及び2とは、いずれも称呼において類似し、外観において相違し、観念において比較することができないものであるとしても、互いに相紛れるおそれがある類似の商標と認められる。
ⅴ)指定商品について
本件商標の指定商品中、「medicated bath preparations , chemical preparations for medical or pharmaceutical use.」は、引用商標1及び2の指定商品「薬剤」と同一または類似する商品であるが、本件商標の上記商品以外の指定商品は、引用商標1及び2の指定商品と同一または類似する商品とは認められない。
これより、、本件商標は、その指定商品中、「medicated bath preparations,chemical preparations for medical or pharmaceutical use.」について、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第15号該当性
申立人が提出した証拠から、引用商標は、本件商品に使用する請求人の商標として一定程度知られているといえるとしても、取引者、需要者の間に広く知られていたものとは認められない。
これより、本件商標の「medicated bath preparations,chemical preparations for medical or pharmaceutical use.」以外の商品に使用した場合に、これに接する取引者、需要者をして引用商標を想起させるとはいえず、出所について混同を生じさせるおそれはない。
3 むすび
本件商標は、その指定商品中「medicated bath preparations , chemical preparations for medical or pharmaceutical use.」については、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を無効にすべきである。
しかし、本件商標は、上記以外の指定商品については、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、その登録を無効にすべきではない。
◆コメント:
「ビオアクチス」と「ビオラクチス」との類否だが、「オ」と「ラ」の一音子音相違で類似と判断している。
これは、近年の審決傾向からすると、商標権者にとって厳しい判断であったのではないかと考える。
指定商品が第5類「薬剤」であり、一つのミスが人命に直結しかねないという業界事情も考慮した判断であったものと推測する。