◆対象商標:
「2.5D Gorilla Glass 3」 第14類 ブレスレット、身飾品、宝飾品
◆種別と異議申立番号:
異議の決定
異議2016-900303
◆確定日:
2017/05/22
◆関連条文:
商標法4条1項15号
商標法4条1項19号
商標法4条1項7号
◆使用商標:
申立人は次の2つの商標をスマートフォン、タブレット端末、ノート型パソコン、液晶テレビ等のディスプレイガラスの保護カバーガラスとして販売している特殊強化ガラスに使用している。
「Gorilla(ゴリラ)」
「Gorilla Glass(ゴリラガラス)」
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
登録第5862676号商標の商標登録を維持する。
◆理由:
1)使用商標の周知、著名性
使用商標がスマートフォン用の保護カバーガラスや電子機器用強化ガラスに使用された結果、その商品に係る取引者等において一定程度の周知性を獲得しているといえるとしても、その周知性は、当該商品の分野に限定されたものであり、本件商標の指定商品である「ブレスレット,身飾品,宝飾品」の分野にまで及ぶものということはできない。
2)商標法4条1項15号の該当性
・本件商標と使用商標は外観、称呼、観念とも相紛れることのない非類似の商標である。
・使用商標の周知、著名性は「ブレスレット、身飾品、宝飾品」の分野にまで及ぶものということはできないから、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、使用商標を連想、想起することはなく、その出所について混同を生じるおそれはない。
よって、商標法4条1項15号に該当しない。
3)商標法4条1項19号の該当性
・本件商標と使用商標とは非類似。
・本件商標が不正の目的もって使用をするものであることを示す証拠を提出していない。
よって、商標法4条1項19号に該当しない。
4)商標法4条1項7号の該当性
・本件商標と使用商標が類似しないことから、申立人の使用商標の名声や信用、顧客吸引力などにフリーライドし、それらを毀損させるとはいえない。
・本件商標権者が「Gorilla Glass」及び「Gorilla Glass 3」が申立人の商標であることを、申立人との取引を通じて知っていたとしても、それによって、本件商標が社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反し、あるいは、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、その登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合に該当するということはできない.
よって、商標法4条1項7号に該当しない。
◆コメント:
筆者は、スマートフォン用の保護強化ガラスに「ゴリラガラス」の採用を検討したことが何度かあったため、
「Gorilla Glass」と聞けばすぐにこの保護強化ガラスのことを想起する。
よって、筆者が仮に宝飾品において「2.5D Gorilla Glass 3」に接した際には、この保護強化ガラスのことを想起し、出所を混同してしまったであろう。
筆者がレアケースかどうかは読者の判断に委ねるが、申立人が提出した証拠の全世界45億台のデバイスに採用されている点についてもう少し重きを置いて判断して欲しかったと考える。
審決公報は以下。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/TA/JPJZH28900303/D437B9D673935B8DF834A5E0454522D1
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