◆対象商標:
「津山さくら」
◆指定商品役務:
第16類「紙製包装用容器,文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て」
◆種別と審判番号:
無効の審決
無効2014-890101
◆審決日:
2015/12/25
◆関連条文:
商標法第4条第1項第8号
商標法第4条第1項第15号
◆引用商標
請求人が描画材料や文房具類に使用する「サクラ」及び「SAKURA」
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
◆理由:
1 「サクラ」及び「SAKURA」の周知性について
請求人が提出した証拠からは、「サクラ」の片仮名が、文房具類の取引者においては、請求人の略称として認識されているとしても、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の「文房具類」の一般の需要者の間において、広く認識されているものと認めることができない。
2 商標法第4条第1項第8号該当性について
本件商標は、「津山さくら」の文字を標準文字で表してなり、外観上まとまりよく一体的に表わされ、その構成全体から生ずる「ツヤマサクラ」の称呼も、無理なく一連に称呼できる。
そして、本件商標の構成文字全体から「津山市の桜」程の意味合いを認識させるものであり、その構成全体をもって、一体不可分のものと認識、把握されるものというべきである。
また、請求人提出の証拠によっては、「サクラ」の文字は、請求人を指し示すものとして一般に受け入れられている「著名な略称」ということはできないものであり、かつ、本件商標は、その構成中に「さくら」の文字を有するとしても、この文字は、上記のとおり、我が国において広く親しまれた「桜」を認識するものであるから、本件商標の構成中の「さくら」の文字部分は、これに接する者に、請求人を想起・連想させるものということができない。
したがって、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標とはいえず、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
外観:
本件商標と引用商標とは、それぞれの構成に照らし、視覚上、十分区別することができるものであるから、外観において相紛れるおそれはない。
称呼:
本件商標から生じる「ツヤマサクラ」と、引用商標から生じる「サクラ」の称呼とは、語頭における「ツヤマ」の音の有無において明らかな差異を有するものであるから、十分に聴別することができるものである。
観念:
本件商標は「津山市の桜」の観念を生じるのに対し、引用商標は「桜」の観念を生じるものであるから、観念上、相紛れるおそれはないものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても十分に区別することができる非類似の商標であって、別異の商標というべきである。
そして、引用商標は、前記のとおり、周知・著名性は認められない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
◆コメント:
妥当な審決であったと考える。
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