◆対象商標:
「東海飯店」
◆指定商品役務:
第43類「飲食物の提供,ケータリング(飲食物)」
◆種別と審判番号:
無効の審決
無効2015-890056
◆審決日:
2015/11/24
◆関連条文:
商標法第3条第1項第1号
商標法第3条第1項第3号
商標法第4条第1項第15号
本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
◆理由:
1 商標法第3条第1項第1号及び同項第3号該当性について
本件商標の構成中「東海」の文字部分は、「東方の海、日本国の異称、東海道の略」等の意味を有する語であるが、特定の地名、著名な地理的名称を表示するものではなく、その指定役務との関係において、役務の提供場所を表示するものということができない。
そして、「飯店」の文字部分は、「中国料理店」の意味を有する語であるから、本件商標は、「東海飯店」という特定の飲食店名を表したものと取引者、需要者に認識、把握されるとみるのが自然である。
また、「東海飯店」の文字が、本件指定役務の普通名称又は「東海地方の中華料理店」程を表すものとして使用されている事実を発見することができず、取引者、需要者が、役務の提供場所を表示したものと認識するというべき事情も見あたらない。
そうとすれば、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、その役務の普通名称及び提供の場所を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえないものであって、十分に、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものと認められる。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第1号及び同項第3号に該当しない。
なお、請求人は、「本件商標の構成中の『東海』の文字部分が地理的名称を表すものであるところから、・・・東海地方以外の地域で役務を行なうことにより、役務の混同を生ずるおそれがあることはあきらかである」旨を主張する。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
請求人提出の証拠からは、請求人が「中華料理を主とした飲食物の提供」に「東海飯店」を使用した事実は何ら示されていないものであるから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「東海飯店」の文字が、請求人の業務に係る役務を表示する商標として広く認識されているものとはいえない。
その他、本件商標をその指定役務について使用した場合、役務の出所について混同を生ずるものとすべき特段の事情も見いだせない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
◆コメント:
「東海」は、いわゆる「東海地方」のことだと認識していたが、辞書等によるとそうでもないようである。
妥当な審決であったと考える。