◆対象商標:
「FIREFLY」
◆指定商品役務:
第9類「文字認識用のコンピュータソフトウェア(医療用及び外科用のものを除く。),商品のバーコードを読み取り商品を特定するための携帯電話・スマートフォン・タブレットコンピュータ用のコンピュータソフトウェア(医療用及び外科用のものを除く。),電話機を利用した情報検索用コンピュータソフトウェア(医療用及び外科用のものを除く。)」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2017-17236
◆審決日:
2018/07/18
◆関連条文:
商標法第4条第1項第11号
◆引用商標:
国際登録第776084号商標 「FIREFLY」
指定商品役務は、第9類「Luminescence diodes.」(発光ダイオード)
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
◆理由:
(1)本願商標と引用商標の類否について
a)本願商標
「FIREFLY」は、「蛍」の意味を有する英語である。
よって、
称呼:
「ファイアフライ」
観念:
「蛍」
b)引用商標
称呼:
「ファイアフライ」
観念:
「蛍」
これより、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念において同一又は類似であり、両商標は類似の商標である。
(2)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
両商標の指定商品の類否を検討すると、本願商標の指定商品である、いわゆる「コンピュータソフトウェア」(以下「ソフトウェア」という。)とは、「コンピューターを動作させるためのプログラムや命令を記述したデータのまとまり。・・・」であり、一方、引用商標の指定商品である「発光ダイオード」とは、「電流を流すと光を発する半導体素子。」である。
前者のソフトウェアは、コンピューターに所定の処理を実行させることをその用途とするものであり、後者の発光ダイオードは、ディスプレイ、信号機、照明器具等発光機能を有する機器の部品として組み込まれて使用されることをその用途とするもので、汎用性のある電子部品であるから、両者の用途は明らかに異なるものである。
また、両者の販売部門については、ソフトウェアは、コンピュータプログラムが格納された記憶媒体として、あるいは、インターネット回線を解して利用者の電子情報端末にダウンロードすることにより流通し、家電量販店、オンラインショップ等の小売店で販売されており、その需要者はコンピューターや電子情報端末を利用する企業や一般消費者であるといえる。
一方、発光ダイオードは、一般的には、企業間取引において流通し、購入者の業務に係る商品の生産のために販売され、その需要者は、一般消費者ではなく、発光ダイオードの機能を利用した様々な商品を製造する製造業者であるから、明らかに異なるものである。
そして、生産部門についても、ソフトウェアは、大規模な製造設備等を必要とせず、コンピュータプログラミングに使用するコンピューター設備とプログラマーが行うのに対し、発光ダイオードは、特殊な基板材料を加工することが可能な、半導体製造装置を有する半導体製造企業であるから、その生産部門、原材料も明らかに異なるものといえる。
さらに、ソフトウェアは、その本質はプログラム言語で構成された処理実行命令であって、無体物といえるものであり、発光ダイオードは、サファイア、インジウム等特殊な原材料を必要とする有体物といえるものであるから、その品質においても明らかに異なるものといえる。
そうすると、ソフトウェアと発光ダイオードは、共に電子応用機械器具及びその部品の範ちゅうに属する商品であるとしても、その用途、販売部門、需要者、生産部門及び品質が明らかに異なるものであるから、両者に同一又は類似の商標を使用しても、それらが同一の営業主の製造、販売に係る商品と誤認混同されるおそれはないものと判断するのが相当である。
また、他に両商標の指定商品が類似するというべき事情は見いだせない。
してみれば、両商標の指定商品は、非類似の商品といわなければならない。
(3)まとめ
以上のとおりであるから、本願商標と引用商標とが同一又は類似の商標であるとしても、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と類似するものではない。
よって、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。
◆コメント
本審決説示のとおり、「ソフトウェア」と「発光ダイオード」は、用途、販売部門、需要者、生産部門、原材料、品質が明らかに異なる。
妥当な審決であったと考える。
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