◆対象商標:
「銀座帆布」
◆指定商品役務:
第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2014-5448
◆審決日:
2016/01/04
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
商標法第4条第1項第16号
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標の構成文字中「銀座」の文字部分は「東京都中央区の繁華街」を意味する地名として親しまれ、様々な店舗が並ぶ地として広く知られていることから、これを商品に使用した場合には、これに接した需要者は、その商品の産地、販売地として表示するものと認識するというのが相当である。
また、本願商標構成文字中「帆布」の文字部分は「船の帆やテントなどに用いる織物。綿糸または麻糸製。カンバス。」を意味する語であって、本願の指定商品の関係からは織物の商品名の一種類を表すにすぎない。
そうすると、本願商標は、商品の産地又は販売地と認識される「銀座」の文字と商品名を表した「帆布」の文字とを結合したものと認識されることから、本願商標全体として「銀座で製造又は販売されている帆布」の意味合いを容易に認識させるにすぎない。
そして、「倉敷帆布」、「尾道帆布」、「宮島帆布」及び「藩州帆布」等(甲2)のように、特定の地域で製造又は販売されている帆布について、当該地名と商品名「帆布」を組み合わせて普通に使用されている取引の実情もうかがえる。
以上よりすれば、本願商標は、商品の産地、販売地、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならず、上記認定以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
◆コメント:
「銀座帆布」自体の使用例がない中で、商標法第3条第1項第3号に該当すると認定された事案である。
「銀座」といっても、東京都中央区の繁華街が最も著名なものであることには異論はないが、日本全国に多数みられる地名でもある。
よって、「銀座帆布」からは商品の産地、販売地を具体的に表しているとまでは言えないのではないだろうか。
疑問の残る審決であった。
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