◆対象商標:
「ベジタブルファースト」
◆指定商品役務
第29類「野菜を主材とする惣菜,食用油脂,冷凍野菜,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,カレー・シチュー又はスープのもと」
第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」
◆種別と異議申立番号:
異議の決定
異議2015-900309
◆異議決定日:
2016/10/19
◆関連条文:
商標法第3条第1項第6号
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
登録第5776201号商標の商標登録を取り消す。
◆理由:
申立人提出の証拠より、次の事実を認めることができる。
(1)「ベジタブルファースト」の文字について
ア 「ベジタブルファースト」又は「ベジタブル・ファースト」の文字は、本件商標の登録査定の日前に発行又は掲載された書籍、新聞、雑誌及びウェブページにおいて、食事をする際には、野菜を最初に食べることが健康に良いということなどを紹介する中で、総じて「食事の際に野菜を最初に食べること」を表す語として用いられている。
イ 2014年に行われた20代ないし40代の女性を対象としたアンケートでは、76%が「ベジタブルファースト」の語を知っていた。
ウ 飲食料品メーカーが「ベジタブルファースト」に注目し、「ベジタブルファースト」を訴求した商品の販売や「ベジタブルファースト」として、食事の前に野菜飲料を飲むことをすすめている実情がある。
エ 「ベジタブルファースト」の文字が、本件商標の登録査定の日前に、飲料や食品(スープ)の広告に使用されている。
(2)上記(1)ア及びイの事実に加え、近年、社会一般において健康への関心が高まっていること、及び本件商標の指定商品はいずれも飲食料品であることを併せみれば、「ベジタブルファースト」又は「ベジタブル・ファースト」の文字は、本件商標の登録査定の時に、「食事の際に野菜を最初に食べること」を表す語として取引者・需要者に認識されているものである。
そして、飲食料品メーカーにおいても、上記(1)ウ及びエのように、「ベジタブルファースト」に注目し、飲食料品に使用している実情があり、さらに、飲食料品には摂取方法や摂取上の推奨事項などが記載されているものがあることと相まって、本件商標は、これをその登録査定の時に、飲食料品である本件商標の指定商品について使用しても、取引者・需要者をして、該文字を「食事の際に野菜を最初に食べる」という食事の摂取方法を表わしたものと認識させるにすぎないから、商品の識別標識としての機能を果たすものとはいえない。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
◆コメント:
私は、この「ベジタブルファースト」を見た際には、「野菜を優先して食べる」という意味であると想起し、「食事の際に野菜を最初に食べること」とは想起しなかった。
言い換えれば、食事の順番に関することであることとは、想起しなかった。
本件商標の指定商品を取り扱う業界においては、「食事の際に野菜を最初に食べること」という意味で用いられているのであろうか。
疑問の残る審決である。
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