◆対象商標:
「宅配収納」
◆指定商品役務
第20類「通信手段を備えた宅配ボックス,その他の宅配ボックス,通信手段を備えた宅配自動管理ロッカー,その他の宅配自動管理ロッカー,錠(電気式又は金属製のものを除く。)」
第39類「荷物の保管,家具の保管,物品の保管,鉄道による輸送,車両による輸送,航空機による輸送,船舶による輸送,配達物の一時預かり,倉庫の提供,荷物の宅配並びにこれに関する媒介又は取次ぎ」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2016-12533
◆審決日:
2016/10/19
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標の「宅配」は、「商品や新聞・雑誌・荷物などを家まで配達すること。」の意味を有する語であり、「宅配便」の略称としても親しまれている語である。
また、「収納」は、「物をかたづけしまうこと。」の意味を有する語であって、共にごく親しまれている語であるから、全体として、「宅配便で配達されたものをしまうこと」程の意味合いを容易に理解させるものである。
ところで、「不在時に宅配されたものを収納するための収納庫」や、「宅配便を利用して荷物を集荷し、保管、収納する役務」が、「宅配収納」並びに「宅配」及び「収納」の文字と共に使用又は説明されている実情がある。
そして、上記の事実については、多数の使用例から裏付けられるところである。
そうとすれば、本願商標を、その指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、これら商品が、「宅配されたものを収納しておくための収納庫」であることを認識するにすぎず、また、本願の指定役務中、「荷物の保管,家具の保管,物品の保管,配達物の一時預かり,倉庫の提供,荷物の宅配並びにこれに関する媒介又は取次ぎ」に使用したときは、これら役務が、「宅配便を利用して荷物を集荷し、保管、収納する役務」であることを認識するにすぎないものとみるのが相当である。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「『宅配収納』の語は、構成上一体不可分の商標であることから、一種の造語として認識、把握するのが自然といわなければならない。そして、原査定で引用した使用例は、いずれも本願商標を構成する『宅配収納』の語に関する使用例ではなく、この事実がまさに、本願商標は請求人の創出に係る造語であるという事実を裏付けているものである。」旨、主張する。
しかし、「宅配」及び「収納」の文字が、一般的にごく親しまれている語であることからすると、請求人の創作した造語として認識されるというよりは、両語が単に結合されたものとして理解されるというのが相当である。
そして、「宅配」及び「収納」の文字が、本願の指定商品及び本願指定役務との関係において、普通に使用されていることが、別掲のインターネット情報及び新聞記事情報より窺えるものであり、さらに、「宅配収納」の文字についても、「宅配されたものを収納しておくための収納庫」及び「宅配便を利用して荷物を集荷し、保管、収納する役務」を表す語として使用されていることが窺えるものである。
また、請求人は、造語として認識されるとする主張のみで、これを証する証拠の提出がない。
よって、請求人の上記主張は、採用することができない。
◆コメント:
原査定および本審決で提示された使用例は、その多くが「宅配収納」そのものではなく、文中に「宅配」と「収納」の2つの語が離れて使われているものである。
よって、直近の審決例と比較すると、商標法第3条第1項第3号に該当するとした根拠にするには乏しいものであると考える。
やや、納得感に乏しい審決である。
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