◆対象商標:
「YS-I-CLOUD」
◆指定商品役務
第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,電子計算機用プログラムの設計・作成及び保守,ウェブサイトの設計・作成及び保守」等
◆種別と異議申立番号:
異議の決定
異議2017-900219
◆異議決定日:
2017/12/08
◆関連条文:
商標法第4条第1項第11号
商標法第4条第1項第15号
◆引用商標
(1)登録第5302656号商標 「iCLOUD」
(2)登録第5498440号商標 「iCloud」
(3)国際登録第1216753号商標 「iCloud」(文字の上に雲の図形が描かれている、詳細は公報参照)
(4)登録第5814812号商標 「ICLOUD」
(5)登録第5890807号商標 「ICLOUD」
(6)登録第5896101号商標 「ICLOUD」
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
登録第5936021号商標の商標登録を維持する。
◆理由:
(1)引用商標の周知著名性について
申立人「アップル インコーポレイテッド(Apple Inc.)」の提出した証拠等から、引用商標2は、申立人が提供するサービスの利用者を中心として一定程度知られていることが認められるとしても、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
また、引用商標1及び引用商標3ないし引用商標6は、申立人の提出した証拠からは、使用されている事実が確認できない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、「YS」、「I」及び「CLOUD」の各文字をハイフン「-」でつなげた構成であり、いずれかの文字部分が独立して、取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいい難い。
これより、本件商標は、その構成文字全体をもって、一体不可分の一種の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが相当である。
よって、
称呼:
「ワイエスアイクラウド」
観念:
特定の観念を生じない
となる。
イ 引用商標について
(ア)引用商標1について
称呼:
「アイクラウド」
観念:
特定の観念を生じない
(イ)引用商標2について
称呼:
「アイクラウド」
観念:
特定の観念を生じない
(ウ)引用商標3について
称呼:
「アイクラウド」
観念:
特定の観念を生じない
ウ 本件商標と引用商標1ないし引用商標3との類否について
外観:
明確に区別できる。
称呼:
本件商標の称呼と引用商標1ないし引用商標3の称呼とは、「ワイエス」の音の有無という顕著な差異を有するものであるから、これらをそれぞれ一連に称呼した場合には、全体の語調、語感が相違し、称呼上、明瞭に聴別することができるものである。
観念:
比較することができない。
これより、本件商標と引用商標1ないし引用商標3とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において明らかに相違するものであるから、両者は、非類似の商標というべきである。
エ 小括
よって、本件商標は、引用商標1ないし引用商標3とは、非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と引用商標との類似性について
(ア)本件商標と引用商標1ないし引用商標3との類否について
相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標である。
(イ)本件商標と引用商標4ないし引用商標6との類否について
相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標である。
(ウ)小括
よって、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標である。
イ 出所の混同のおそれについて
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品又は役務であることを表示するものとして需要者の間に広く知られているとは認められないものであり、また、上記アのとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
◆コメント:
本審決の判断の大きな決め手となったのは、引用商標の周知著名性が認められなかったことである。
個人的には、Apple Inc.の「iCloud」はiPhoneユーザーであれば、必ずといっていいほど利用者の目に触れるものであり、iPhoneユーザーの数を考えると周知著名と認定してもよいと考える。
あくまで推測ではあるが、申立人が提出した証拠が不十分なだけであったのではないだろうか
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