◆対象商標:
「かんさい」
◆指定商品役務:
第43類「飲食物の提供」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2017-6279
◆審決日:
2017/10/11
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
本願商標は、「かんさい」の文字を標準文字で表してなり、この文字は、「京都、大阪、神戸を中心とする一帯。京阪神地方。」を意味する「関西」の文字を平仮名で表記したものと認められる。
そして、本願の指定役務の分野及び飲食物を取り扱う分野において、「関西」の文字は、「料理」との関係で、原審の拒絶査定で示した使用例のほか、多数使用されている実情がある。
これらの使用例によると、指定役務の分野や飲食料品を取り扱う分野において、「関西」の文字は、これに続けて調理方法や飲食物の提供におけるスタイルを表す文字、あるいは食品の名称を付すことによって、関西地方における調理方法や関西地方独特の食材を使用して提供されるものであること、または、提供される飲食料品が関西風の味の特徴を有したものであること、すなわち役務の質を表示する文字として広く使用されていることが認められるものである。
そうすると、「かんさい」の文字からなる本願商標は、このように役務の質を表示するにすぎない「関西」の文字を平仮名表記したものであることからすると、これをその指定役務に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、「関西地方における調理方法や食材を使用して提供されるものであること、及び提供される飲食料品が関西風の味の特徴を有したものであること」を表したものとして理解するというのが相当であり、自他役務の識別標識として認識するとはいえないものである。
よって、本願商標は、その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
これより、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
◆コメント
本審決で説示されているように、「特定人による独占使用を認めることが公益上適当でない」 (東京高裁 平成12年(行ケ)第164号判決)との観点からも、妥当な審決であると考える。