◆対象商標:
「信州大黄」
◆指定商品役務:
第5類「大黄を使用した便秘薬」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2015-15976
◆審決日:
2015/12/15
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
商標法第3条第2項
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標の構成中の「信州」の文字は、「信濃国の別称、いまの長野県」等の意味を有する語であり、「大黄」の文字は、「タデ科の多年草。黄色い根茎の外皮を除き乾燥したものが生薬の『大黄』で、健胃剤・下剤とする。」等の意味を有する語であるから、これよりは、「長野県産の大黄」程の意味合いが理解されるものである。
ところで、この文字は、請求人が、植物の「大黄」の新品種として、種苗法に基づき「信州大黄(シンシュウダイオウ)」の名称で、1988年(昭和63年)8月18日に品種登録され、2003年(平成15年)8月19日に期間が満了するまで、品種の名称として登録されていたものである。
そして、大黄の新品種として種苗法に基づき品種登録された「信州大黄」は、従来種よりも、大量生産が可能であり、有効成分の含有量も多いなどの多くの特性をもつことが新聞等で紹介されている実情がある。
また、薬品関連の商品の取引者、需要者の間においては、「信州大黄」の語は、大黄の品種の名称であると認識されているとみるのが相当であり、かつ、「信州大黄」は「薬剤」の原材料として利用されているものである。
そうすると、本願商標の「信州大黄」は、本願商標をその指定商品、「大黄を使用した便秘薬」に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、「信州大黄」という植物を使用した商品であると理解するものであって、商品の原材料、品質を表示したものと理解し、自他商品の識別標識とは認識しないものと判断するのが相当である。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人提出の証拠は、請求人が販売した便秘薬に関するものであり、「信州大黄」の文字が、出所識別標識として長年使用されているとする証拠とは認められない。
そうすると、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識され、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる商標に至っていたものということができない。
してみれば、本願商標がその指定商品について使用された結果、取引者、需要者が、請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
◆コメント:
妥当な審決であったと考える。