◆対象商標:
「近江すずき」
◆指定商品役務:
第29類「ブラックバス(生きているものを除く),ブラックバスを使用した加工水産物」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2015-6315
◆審決日:
2016/02/08
◆関連条文:
商標法第4条第1項第7号
◆結論:
原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
◆理由:
1)原査定の拒絶理由
本願商標「近江すずき」ば、「ブラックバス」を「近江すずき」と称し、ブラックバス有効活用研究会等が中心となって、合同会社リボーンを設立し、地域活性化等の目的で「近江すずき」(ブラックバス)の普及に取り組んでいることが認められる。
これを上記会社と関係のない出願人が、自己の商標として採択使用することは、商取引の秩序を乱すものであり、地域活性化等を目的とした「近江すずき」(ブラックバス)の普及の妨げになる。
よって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶した。
2)本審判での判断
本願商標の構成中、「近江」の文字部分は、「旧国名。今の滋賀県。」を意味するものであって、「すずき」の文字部分は、「(魚)鱸」又は「姓氏の一つ」である「鈴木」の読みを表したものであるとしても、「近江すずき」の文字からは、直ちに特定の意味合いを理解、認識させるものとはいえない。
そして、「近江すずき」の文字が、滋賀県の公益的な施策として事業の名称等に使用されている実情は見いだせず、また、地域の特産品や土産物に表示して地域活性化を図ることを目的とする具体的な活動に使用されている等の実情も見当たらない。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、又は商取引の秩序を乱すものであるということはできない。
また、本願商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような構成ではなく、これを本願の指定商品に使用することが、社会の一般的道徳観念に反するもの等とすべき事情も見あたらないものである。
したがって、本願商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないから、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
◆コメント:
おそらく、「近江すずき」を具体的に使用している事案が乏しかったのであろう。
そうであれば、妥当な審決であったと考える。