◆対象商標:
「四次元ポケット」
◆指定商品役務:
第9類「業務用テレビゲーム機用プログラム,電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」
第42類「気象情報の提供,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,機械器具に関する試験又は研究,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」
◆種別と異議申立番号:
異議の決定
異議2015-900124
◆異議決定日:
2015/11/05
◆関連条文:
商標法第4条第1項第15号
商標法第4条第1項第7号
◆引用標章
「ドラえもん」の代名詞である「四次元ポケット」
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
登録第5733579号商標の商標登録を取り消す。
◆理由:
1 「四次元ポケット」の文字(語)について
申立人提出の証拠等から、、「四次元ポケット」の語は、本件商標の登録出願の日前から、「ドラえもんのひみつの道具(の一つ)」を表す語として、需要者の間に広く認識されていたものと判断するのが相当であり、それらの認識は、本件商標の登録査定の日はもとより、現在も継続しているものといえる。
2 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)「四次元ポケット」の文字は、上記1(2)のとおり、「ドラえもんのひみつの道具(の一つ)」として、本件商標の登録出願の日前から現在まで継続して、需要者の間に広く認識されている「四次元ポケット」の語と同一の文字からなるものである。
(2)申立人提出の証拠によれば、「ドラえもん」に係る商品は、文具、生活雑貨、洋服、おもちゃを含む多種多様な商品等が販売され、「四次元ポケット」にちなんだ商品やプロジェクトも存在している事実が認められる。
そして、人気のキャラクターについては、キャラクターに係る多種多様な商品(いわゆる「キャラクター商品」)等が販売されることが一般的であることを併せみれば、人気のキャラクターといえる「ドラえもん」についても、本件商標の登録出願の日前から多種多様なキャラクター商品等が販売されていたと推認できる。
(3)これより、「四次元ポケット」の文字からなる本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、これをその指定商品及び指定役務について使用した場合、これに接する需要者をして、多種多様なキャラクター商品が販売されている「ドラえもん」を想起・連想し、当該商品及び役務を、「ドラえもん」に係る権利を有する者(例えば、申立人)あるいは「ドラえもん」に係るキャラクター商品を販売等する者など「ドラえもん」に係る権利を有する者の業務に係る商品や役務であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
3 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)本件商標は、本件商標の登録出願の日前から「ドラえもんのひみつの道具(の一つ)」として需要者の間に広く認識されている「四次元ポケット」の語と、同一の文字からなるものである。
(2)そして、「四次元ポケット」が需要者の間に広く認識されていること、及び「四次元ポケット」の語が他に意味を有しない造語であることからすれば、本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)は、本件商標の登録出願の時に、「ドラえもんのひみつの道具(の一つ)」である「四次元ポケット」を知っていたとみるのが自然である。
(3)さらに、商標権者が「ドラえもん」に係る権利を有する者とは認めらないことを併せみれば、本件商標は、「四次元ポケット」ないしそれから想起・連想される「ドラえもん」が有する周知性及び顧客吸引力に便乗して、不当な利益を得ようとの目的をもって登録出願されたものと推認せざるをえない。
そのため、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないから、公の秩序又は善良の風俗に反するものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
◆コメント:
商標法第4条第1項第15号の判断は妥当なものであったと考えるが、商標法第4条第1項第7号の判断については行き過ぎた感がある。
「『ドラえもん』が有する周知性及び顧客吸引力に便乗して、不当な利益を得ようとの目的をもって登録出願された」とまではいえないのではないだろうか。
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