◆対象商標:
「千代田インプラントセンター」
◆指定商品役務:
第44類「歯科医業」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2015-2765
◆審決日:
2015/09/15
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
(1)本願商標について
本願商標の構成中「千代田」の文字部分は、「東京都23区の一つ。23区のほぼ中央にあり、皇居および霞ヶ関・丸の内など日本の政治・経済の中枢機関が集中。」を意味するものである。
また、「インプラント」の文字部分は、「(移植の意)人工の歯を埋め込むこと。また、その歯。」の意味を、そして、「センター」の文字部分は、「その分野の中心となる機関・施設。」の意味を表すものである。
そして、本願指定役務を取り扱う業界においては、別掲のとおり、歯科医業を営む事業者が、インプラントに関する業務を行うに際し、この業務を行っている場所の地名を冠に配し、「インプラントセンター」の文字とを結合させた「○○インプラントセンター」の表示を普通に使用している実情がある。
以上よりすれば、「千代田インプラントセンター」の文字に接する取引者、需要者は、「東京都千代田区所在の人工歯埋め込み治療を行う施設」程の意味合いを容易に理解、認識するというのが相当である。
そうすると、本願商標をその指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、単に役務の質、提供場所を表示したものと理解するにとどまるから、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
◆コメント:
請求人は、「『千代田』の語が『東京都千代田区』を直ちに認識させるものではない。」旨主張している。
確かに、請求人の主張のとおり、「『千代田』の姓を持つ者が全国に約3300人いる。」という事実もあるだろう。
しかし、「千代田」に触れた者の多くは、東京都千代田区を想起するのではないだろうか。
妥当な審決であったと考える。