◆対象商標:
「プレミアム制震システム」
第6類
第19類
第37類
第42類
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2014-8926
◆審決日:
2015/09/01
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標の「プレミアム」及び「システム」の片仮名は、それぞれ「(形容詞的に用いて)高級な」及び「(組織的な)機械装置、方式、仕組み」の意味を有し、いずれも我が国において広く親しまれた語である。
また、構成中「制震」の文字は、国語辞典には載録が見受けられないものの、その構成文字に相応して「震えを制する」程の意味合いを容易に想起させるものである。
ところで、原審において示した証拠によれば、本願の指定商品及び指定役務に係る建築用材料、建築工事、建築物の設計等の商品及び役務分野(建築全般の商品及び役務の分野)において、「制震システム」の語が「建物の揺れを制御する装置や仕組み」を表す語として、取引上普通に使用されていることが認めらる。
また、建築物やその構成物の等級(グレード・ランク)や品質・程度などが高い(高級な)ことについて、「プレミアム仕様」、「プレミアム商品」、「プレミアム住宅」のように「プレミアム」の語が多数使用されている。
さらに、制震装置や制震の仕組み(制震システム)が優れていることについても、「プレミアム」の語が使用されている実情がうかがえる。
してみれば、本願商標は、「プレミアム」の文字と「制震システム」の文字からなるものと容易に理解されるものであり、これをその指定商品及び指定役務に使用しても、取引者、需要者が「建物の揺れを制御する装置や仕組みであって、等級(グレード・ランク)や品質・程度などが高いもの」程の意味合いを想起するにとどまるというべきであるから、単に商品の品質、役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎない商標であるというのが相当である。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
◆コメント:
請求人は、「プレミアム制震システム」と同一構成又はこれと対比されるべき単語が使用されている例が見当たらないことから、本願商標は、本願の指定商品及び指定役務に係る業界において、「商品等の品質表示等として一般に認識される商標に過ぎない」とはいえない旨主張した。
これに対して審判官は、たとえ、「プレミアム制震システム」の文字が、本願の指定商品及び指定役務の品質及び質を表すものとして実際に使用されていないとしても、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断にあっては、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(東京高裁平成12年(行ケ)76号 )と、高裁判決を提示し、請求人の主張を斥けている。
この判決を提示して、商標法第3条第1項第3号に該当しているとの判断をした審決もいくつかあるが、使用例が見当たらない場合の大多数が商標法第3条第1項第3号しないとの判断となっている。
判断に一貫性が感じられず、疑問の残る審決である。