◆対象商標:
「2ちゃんねる」
◆指定商品役務:
第38類「電子掲示板による通信及びこれに関する情報の提供,インターネット利用のチャットルーム形式による電子掲示板通信及びこれに関する情報の提供」
第42類「インターネット又は移動体通信端末による通信を利用した電子掲示板用のサーバの記憶領域の貸与及びこれに関する情報の提供,インターネット又は移動体通信端末による通信を利用した電子掲示板へのアクセスのためのコンピュータープログラムの提供及びこれに関する情報の提供」
◆種別と異議申立番号:
異議の決定
異議2016-900172
◆異議決定日:
2017/02/13
◆関連条文:
商標法第3条第1項第4号
商標法第4条第1項第7号
商標法第4条第1項第10号
商標法第4条第1項第19号
◆引用商標
「PACKET MONSTER INC」(以下「パケットモンスター社」)が、電子掲示板に使用する「ちゃんねる」の文字からなる商標
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
登録第5851035号商標の商標登録を維持する。
◆理由:
1 引用商標の周知性について
申立人提出の証拠等から、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「パケットモンスター社」の業務に係る役務である、電子掲示板「2ちゃんねる」を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く知られていたものであることを認めることができない。
2 本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標とは、同一の商標である。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
上記のとおり、引用商標は、需要者の間に広く知られているものではない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような構成態様ではないことは明らかである。
また、本件商標の指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するということもできず、他の法律によってその使用が禁止されているものでもない。
さらに、申立人が提出した証拠及び主張からは、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合に当たるということはいえない。
加えて、申立人が提出した証拠及び主張からは、本件商標の登録出願の経緯が、社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に当たるということもいえない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号について
申立人提出の証拠は、実際にどのような不正の目的があったかを具体的に証明する証拠の提出はされていないし、また、申立人は、これら不正の目的について、具体的な説明もしていない。
そうすると、たとえ、本件商標と引用商標が同一であるとしても、引用商標に周知性は認められず、かつ、本件商標が不正の目的をもって使用をするものということはできない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 商標法第3条第1項第4号について
商標法第3条第1項第4号は、「ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当する商標について、商標登録を受けることができないと規定している。
本件商標は、ありふれた氏でないことは明らかであり、また、「2ちゃんねる」の文字が、ありふれて使用されているという証拠の提出もなく、本件商標がありふれた名称であるということはできない。
そうすると、本件商標が、「ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」ということはできない。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第4号に該当しない。
◆コメント:
本審決の最大のポイントは引用商標「2ちゃんねる」の周知性が認められなかったことにある。
個人的には、非常によく知られている掲示板であると認識しているので、証拠資料をもう少し充実させれば、結果は異なったものになったのではないだろうかと考える。
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