◆対象商標:
「想い出査定士\思い出査定士\おもいで査定士」
◆指定商品役務
第36類「宝玉・宝石の評価,時計・かばん類・袋物・身飾品・被服・携帯電話・スマートフォン・食器・香水などの中古の商品の評価,古物の評価,古銭の評価,骨董品の評価,美術品の評価,中古自動車の評価,中古の商品の買い取り価格の評価に関する情報の提供」他
◆種別と審判番号:
無効の審決
無効2017-890028
◆審決日:
2017/11/24
◆関連条文:
商標法第4条第1項第11号
◆引用商標
登録第5864341号商標 「思い出査定」
登録第5895230号の指定役務中、第36類「宝玉・宝石の評価,時計・かばん類・袋物・身飾品・被服・携帯電話・スマートフォン・食器・香水などの中古の商品の評価,古物の評価,古銭の評価,骨董品の評価,美術品の評価,中古自動車の評価,中古の商品の買い取り価格の評価に関する情報の提供」についての登録を無効とする。 その余の指定役務についての審判請求は成り立たない。
◆理由:
(1)本件商標
称呼:
「オモイデサテイシ」
観念:
「思い出を査定する資格をもった者」
(2)引用商標
称呼:
「オモイデサテイ」
観念:
「思い出を査定すること」
(3)本件商標と引用商標との比較
称呼:
本件商標から生じる「オモイデサテイシ」の称呼と引用商標から生じる「オモイデサテイ」の称呼とを比較すると、両称呼は、「オモイデサテイ」の音を同じくするものであり、僅かに末尾における「シ」の音の有無という差異があるにすぎず、当該差異音についてみても、無声の摩擦音という比較的弱く響く音である上、その位置するところが明瞭に発音され、聴取されるとはいい難い末尾であることからすれば、それぞれを一連に称呼するときは、語感、語調が近似し、互いに聴き誤るおそれがあるというべきである。
観念:
本件商標からは「思い出を査定する資格をもった者」といった観念を生じるのに対し、引用商標からは「思い出を査定すること」といった観念を生じるところ、例えば、第36類「宝玉の評価,古物の評価,骨董品の評価,中古自動車の評価」との関係においては、両者は、「査定する」という行為を行う主体を表したものであるか、当該行為そのものを表したものであるかという点が相違するにすぎず、当該相違が取引者、需要者に対して両者を明確に区別し得るものとして印象付けられるとはいい難い。
外観:
本件商標と引用商標とが「思い出査定」の文字を共通にすることをも鑑みれば、本件商標は、引用商標と全体の外観において類似するとはいえないが、両商標の外観上の差異が、両商標から生じる称呼や観念も総合してする類否判断に影響を及ぼすほど強い印象を与えるとはいい難い。
これより、本件商標と引用商標から生じる称呼及び観念並びに両商標の外観に基づく取引者、需要者の印象、記憶、連想等を総合して全体的に考慮すると、本件商標は、これをその指定役務中の「査定する」という行為と深い関係にある役務である第36類「宝玉・宝石の評価,時計・かばん類・袋物・身飾品・被服・携帯電話・スマートフォン・食器・香水などの中古の商品の評価,古物の評価,古銭の評価,骨董品の評価,美術品の評価,中古自動車の評価,中古の商品の買い取り価格の評価に関する情報の提供」について使用するときは、引用商標の指定役務中の第36類「古物の評価,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,中古自動車の評価」について、引用商標と互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
そして、本件商標の指定役務中の第36類「宝玉・宝石の評価,時計・かばん類・袋物・身飾品・被服・携帯電話・スマートフォン・食器・香水などの中古の商品の評価,古物の評価,古銭の評価,骨董品の評価,美術品の評価,中古自動車の評価,中古の商品の買い取り価格の評価に関する情報の提供」は、引用商標の指定役務中の第36類「古物の評価,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,中古自動車の評価」と同一又は類似の役務である。
(4)小括
上記(1)ないし(3)のとおり、本件商標は、その指定役務中、第36類「宝玉・宝石の評価,時計・かばん類・袋物・身飾品・被服・携帯電話・スマートフォン・食器・香水などの中古の商品の評価,古物の評価,古銭の評価,骨董品の評価,美術品の評価,中古自動車の評価,中古の商品の買い取り価格の評価に関する情報の提供」について、引用商標と類似する商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
◆コメント:
本件商標と引用商標の外観においては、明らかに異なると筆者は考える。
しかし、引用商標「思い出査定」がインパクトがあり需要者の注意をひく造語であることを考えると、外観の非類似を称呼および観念の類似が凌駕しているのではないかと考える。