◆対象商標:
「レッツバービー!」
◆指定商品役務:
第29類「オーストラリア産の牛肉」等
◆種別と異議申立番号:
異議の決定
異議2017-900014
◆異議決定日:
2017/12/11
◆関連条文:
商標法第4条第1項第15号
商標法第4条第1項第19号
商標法第3条第1項第6号
商標法第4条第1項第16号
◆引用商標
(1)登録第5383631号商標 「BARBIE」
(2)登録第2119411号商標 「Barbie\バービー」(図案化、詳細は公報参照)
(3)登録第2131637号商標 「Barbie\バービー」(図案化、詳細は公報参照)
登録第5890335号商標の商標登録を維持する。
◆理由:
申立人は、引用商標を提示して、その著名性について述べているところ、申立人が提出した証拠からは、引用商標1の商品「人形」についての使用は見いだせず、また、引用商標2及び3は、それらの指定商品を食品とするものであり、かつ、それらの食品についての商標の使用は見いだせないから、引用商標は、著名性を獲得した登録商標とはいえない。
上記等の理由から、本件異議申立において申立人が主張する著名商標は、同人が商品「人形」に使用する「バービー」の片仮名を横書きしてなる標章(以下「使用標章」という。)として、以下検討し、判断する。
1 使用標章の周知性について
使用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時はもとより現在においても、申立人の業務に係る商品「人形」を表示する標章として、我が国における需要者の間に広く認識されているものといえる。
しかし、コラボレーションによる商品等については、申立人の業務に係る商品等を表示する標章として、我が国における需要者の間に広く認識されているものとはいえない。
なお、使用標章は、片仮名からなるものであり、外国における使用の事実は見いだせないから、使用標章は、外国における需要者の間に広く認識されているものとは認められない。
2 本件商標と使用標章との類否について
(1)本件商標
本件商標は、一体不可分のものであり、
称呼:
「レッツバービー」
観念:
特定の観念を生じない。
となる。
(2)使用標章
称呼:
「バービー」
観念:
「(申立人のブランドとしての)バービー」の観念を生じる。
(3)本件商標と使用標章との類否
外観:
明らかに相違する。
称呼:
明らかに相違する。
観念:
相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と使用標章とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似のものであって、別異のものである。
3 本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品「人形」との関連性の程度について
本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品「人形」とは、商品の生産部門、販売部門、原材料、用途が全く異なるものであり、また、両商品の需要者は、一般消費者であるという点では共通するものの、それ以外に共通点を見いだすことはできないから、両商品の関連性の程度は極めて低いというのが相当である。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記2のとおり、本件商標は、使用標章と外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品「人形」との関連性の程度は極めて低いことを考慮すれば、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、需要者が使用標章を連想又は想起することはなく、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記のとおり、使用標章は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国における需要者の間に広く認識されているものであるとしても、本件商標と使用標章とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標である。
また、申立人が提出した証拠から、本件商標権者が、申立人の使用標章の信用にただ乗りし、使用標章の出所表示機能を希釈化し又は名声を毀損させるものというべき事実は見いだせないし、他に不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的を持って本件商標を出願し、登録を受けたと認めるに足りる具体的事実も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、「レッツバービー!」の文字からなるところ、「Barbie」の文字がオーストラリア英語の俗語として、「バーベキュー」の意味を有する語であるとしても、我が国において「バービー」の文字が、「バーベキュー」の意味を有する語として、一般に使用されているなどの事実も認められないから、本件商標は、全体として自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
◆コメント:
本審決のポイント一つは、本件商標「レッツバービー!」が一体不可分のものと認められたことにある。
審決説示のとおり、同書同大等間隔で視覚上まとまりよく表されており、一体不可分とした判断はうなずける。
妥当な審決であったと考える。