◆対象商標:
「秋の薫り麦」
第32類「ビール」等
第33類「麦焼酎」等
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2017-10275
◆審決日:
2017/09/08
◆関連条文:
商標法第4条第1項第11号
◆引用商標
登録第5607567号商標 「秋の薫り」
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
(1)本願商標
本願商標「秋の薫り麦」の「秋」「薫り」「麦」のそれぞれは、広く一般に親しまれた語であり、格助詞「の」により結ばれた「秋の薫り」の文字は「秋における薫り」ほどのまとまった意味合いを有する語句として理解させるものである。
また、その構成中の「麦」は、本願商標の指定商品中の商品の原材料あるいはそれと関係の深い語であるといえるものであるから、自他商品識別標識としての機能を有しないものである。
また「秋の薫り」と「麦」とが、全体として特定の意味合いを認識させるものであるなど、これらを常に一体不可分のものとして看取、把握しなければならない特段の事情も見いだし難い。
そうとすると、本願商標の構成中の「秋の薫り」の文字部分が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきであるから、本願商標は、その構成中の「秋の薫り」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標の類否を判断することが許されるものである。
よって、本願商標からは、要部である「秋の薫り」から「アキノカオリ」の称呼が生じ、「秋における薫り」ほどの観念が生じる。
(2)引用商標
称呼:「アキノカオリ」
観念:「秋における薫り」
(3)本願商標と引用商標の類否
本願商標の出所識別標識としての要部である「秋の薫り」と引用商標「秋の薫り」を比較すると、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念を共通にする類似の商標というべきである。
よって、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
◆コメント:
請求人は、本願商標「秋の薫り麦」は、「秋の」、「薫り」及び「麦」の3語が結合されており、薫りの主体「麦」が最も重要な意味合いを持ち、「麦」が連接されて始めて一連一体の用語が形成される旨等主張していた。
しかし、審判官は「秋の薫り」の文字部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである等とし、請求人の主張を退けている。
妥当な審決であったと考える。