◆対象商標:
「PAPA'S&MAMA'S」
第18類
第44類
◆種別と審判番号:
異議の決定
異議2016-900270
◆審決日:
2017/02/23
◆関連条文:
商標法第4条第1項第11号
商標法第4条第1項第15号
◆引用商標:
(1)国際登録第849501号商標 「MAMAS & PAPAS」
(2)登録第5322763号商標 「MAMAS & PAPAS」
(3)登録第5322773号商標 「ママス & パパス」
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
登録第5853559号商標の商標登録を維持する。
◆理由:
(1)引用商標の周知著名性について
申立人提出の証拠からは、引用商標は、本件商標の登録出願時において、我が国の需要者、取引者に、広く認識されていたものとは認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
称呼:「パパズアンドママズ」
観念:「パパとママの」「パパの、そして、ママの」
イ 引用商標について
a)引用商標1及び2
称呼:「ママズアンドパパズ」
観念:特段の意味合いを有しない造語を表記したものと理解されるか、「ママたちとパパたち」程度の観念を生じる
b)引用商標3
称呼:「ママスアンドパパス」
観念:「ママたちとパパたち」
ウ 本件商標と引用商標の比較
a)本件商標と引用商標1及び2との比較
外観:
相違する。
称呼:
それぞれの称呼は、9音中5音を共通にするが、「パパ」及び「ママ」の音の順序に差異があり、全体を一連に称呼するときは、相互に明瞭な差異がある。
観念:
「パパ」及び「ママ」の観念において共通するとしても、所有格と複数形の差異から、「&」の前後の文字から生じる観念は相違し、それぞれの商標全体から生じる観念は、相互に異なる印象となる。
b)本件商標と引用商標3との比較
外観:
相違する。
称呼:
9音中3音を共通にするが、「パパズ」及び「ママズ」並びに「ママス」及び「パパス」の音については、音の順序及び語尾の「ス」の音の清濁の有無の差異があり、全体を一連に称呼するときは明瞭な差異がある。
観念:
引用商標3が造語と理解される限りにおいて観念は比較できず、「ママたちとパパたち」の観念が生じる場合であっても、「パパ」及び「ママ」の観念において、所有格と複数形の差異により、両者の商標全体から生じる観念は、相互に異なる印象を与える。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれについても類似しないものであり、全体として類似しない商標というべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記のとおり、我が国における周知著名性が認められず、また、上記のとおり、本件商標とは類似する商標ということもできない。
これより、本件商標は、申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標ということはできず、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
◆コメント
本件商標は所有格を有し、引用商標は複数形であることから、観念においても相違するため、本件商標と引用商標の非類似の判断は揺るがしがたいところであろう。
仮に、引用商標が所有格を有するものであればどのような結果となったであろうか。
筆者は、外観および称呼の非類似が観念の類似性を凌駕しており、全体として非類似とする判断となったであろうと考える。
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