◆対象商標:
「RTP」
第40類「光学フィルムの貼合加工」等
◆種別と審判番号:
異議の決定
異議2016-900118
◆審決日:
2016/11/21
◆関連条文:
商標法第4条第1項第11号
商標法第4条第1項第15号
◆引用商標:
1 申立人が引用する商標 (以下「引用商標」)
登録第2392678号商標 「RTP Co.」 (図形商標、詳細は公報参照)
2 申立人が引用する標章 (以下「引用標章」)
「RTP Company」
登録第5825729号商標の商標登録を維持する。
◆理由:
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
称呼:「アールティーピー」
観念:特定の観念を生じない
(2)引用商標
ア 引用商標は、顕著に表された「RTP」の文字部分が看者に強く支配的な印象を与え、該文字部分をもって取引に当たる場合も決して少なくない。
よって、引用商標全体から
称呼:「アールティーピーカンパニー」
観念:「RTP会社」程の意味合いを想起させる
となり、
「RTP」の文字部分から
称呼:「アールティーピー」
観念:特定の観念を生じない
となる。
イ 引用標章
引用標章全体から
称呼:「アールティーピーカンパニー」
観念:「RTP会社」程の意味合いを想起させる
となり、
「RTP」の文字部分から
称呼:「アールティーピー」
観念:特定の観念を生じない
となる。
(3)本件商標と引用商標等の類否について
本件商標と引用商標及び引用標章のそれぞれの要部と認められる「RTP」の文字部分とを比較する。
外観:
類似する。
称呼:
類似する。
観念:
比較することはできない。
これより、両商標は類似の商標である。
(4)本件商標の指定役務と引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」の類否について
「役務と商品とが類似するかどうかに関しては、役務又は商品についての出所の混同を招くおそれがあるかどうかを基準にして判断すべきであり、
①商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか、
②商品と役務の用途が一致するかどうか、
③商品の販売場所と役務の提供場所が一致するかどうか、
④需要者の範囲が一致するかどうか
などの事情を総合的に考慮した上で、個別具体的に判断するのが相当である。」旨判示されている(東京地方裁判所 平成11年(ワ)第438号)。
そこで、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」との類否について検討する。
ア 事業者について
ⅰ)本件商標の指定役務「光学フィルムの貼合加工」等の事業者
光学フィルム等の加工業者
ⅱ)引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」の事業者
最終製品となる前のプラスチック基礎製品の製造・販売事業者
よって、同一事業者ではない。
イ 用途について
ⅰ)本件商標の指定役務「光学フィルムの貼合加工」等の用途
光学フィルムの貼合加工等を受託により提供する役務であり、用途が特定された加工である。
ⅱ)引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」の用途
プラスチック製品のうち用途が限定されていない半加工品である。
よって、用途は一致しない。
ウ 役務の提供場所及び商品の販売場所について
ⅰ)本件商標の指定役務「光学フィルムの貼合加工」等の提供場所
光学フィルムの貼合加工等の加工のそれぞれの加工工場
ⅱ)引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」の販売場所
この商品を取り扱う専門の販売店若しくは小売店
役務の提供場所及び商品の販売場所とは一致しない。
エ 需要者の範囲について
ⅰ)本件商標の指定役務「光学フィルムの貼合加工」等の範囲
光学フィルムの貼合加工、プラスチックフィルムの加工を必要とする者
ⅱ)引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」の範囲
プラスチック基礎製品を購入して、これを元に製品を製造若しくは加工する者
よって、需要者の範囲は一致しない。
オ 本件商標の指定役務「プラスチックフィルムの加工に関する情報の提供」と引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」の類否について
両商標の役務と商品については、その事業者、用途、役務の提供場所及び商品の販売場所並びに需要者が全く異なるものであり非類似である。
(5)まとめ
これより、本件商標が引用商標と類似の商標であるとしても、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」とが同一又は類似するものでないから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の周知性について
申立人提出の証拠等からは、引用商標は、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものである。
(2) 出所の混同について
引用商標の周知性は認められないことから、出所の混同をまねくおそれもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
◆コメント
本審決では、商品と役務との類否ついて、ヴィラージュ事件を引用して4つの要件を丁寧に検討して結論を導いている。
納得感のある審決だったのではないか。