◆対象商標:
「ポリリンホワイトニング」
◆指定商品役務:
第3類「歯のホワイトニング用練り歯磨き,歯磨き」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2015-14746
◆審決日:
2016/03/16
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
商標法第4条第1項第16号
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、全体として「ポリリン酸を使用した歯のホワイトニング」ほどの意味を認識させるにすぎないものといえる。
これをその指定商品中の「ポリリン酸を使用した歯のホワイトニング用の商品」に使用するときは、その商品の品質を表示するにすぎないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本願商標は、その指定商品中の「ポリリン酸を使用した歯のホワイトニング用の商品」以外の商品に使用するときは、これがあたかも「ポリリン酸を使用した歯のホワイトニング用の商品」であるかのごとく、商品の品質の誤認を生ずるといえるものであるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標の構成中の「ポリリン」について、「ポリリン酸」であることの説明書きが記載されおり、一般的な需要者は、この説明書きを読んで物質名由来であることを認識できるものであるから、「ポリリンホワイトニング」の語のみに接した需要者が、「ポリリン酸を使用した歯のホワイトニング」のような意味合いを正しく具体的に認識できるものではないし、「ポリリンホワイトニング」の語が本願の指定商品の分野で商品の品質等を表示するものとして、普通に使用されているものではない旨主張する。
しかし、「ポリリン酸」が「ホワイトニング」の施術を行う物質として一般に使用されており、そして、「ポリリン酸」を原材料に使用した「歯磨き」が取引されており、さらには、歯科医院等において、「ポリリン酸」を使用した「ホワイトニング」の施術を「ポリリンホワイトニング」と称している事実を明らかにしているのであって、これらの事実を踏まえれば、「ポリリンホワイトニング」の語が商品「歯磨き」に使用された場合に、これに接する取引者、需要者は、「ポリリン酸を使用した歯のホワイトニング用の商品」であることを容易に認識するというのが相当である。
また、これらの事実の中に、「ポリリン酸」及び「ポリリンホワイトニング」の説明書きがあるからといって、各医院が自らの施術の内容を説明することや商品に含まれる成分が商品の紹介で説明されていることは、取引上普通に行われるものであるから、それをもって品質等を表示するものとして普通に使用されるものとはいえない理由はない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
◆コメント:
筆者の不知のためか「ポリリンホワイトニング」に接した際に、商品の品質等を表示するものとして把握することはできなかった。
需要者として同様の印象を持たれた方も多かったのではないだろうか。
やや、疑問の残る審決である。
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