◆対象商標:
「Swisscy」
◆指定商品役務:
第14類「腕時計,時計バンド,時計の文字盤,時計鎖,時計側,時計用化粧箱,ブレスレット,ネックレス,指輪」
◆種別と審判番号:
無効の審決
無効2015-890005
◆審決日:
2015/08/11
◆関連条文:
商標法第4条第1項第16号
登録第5703654号の指定商品中「腕時計、時計バンド、時計の文字盤、時計鎖、時計側」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
◆理由:
(1)請求人が提出した証拠等によれば、スイス国内において、腕時計における「Swiss」又は「Switzerland」の文字を含む名称又はこれらと混同の恐れがある表示は、スイス法令によりその使用が規制され、スイス製の時計についてのみ使用できることが、我が国の時計を取り扱う業界においても、広く認識されているというべきである。
そうすると、商品「腕時計」について「スイスメイド」、「SWISS MADE」、「Swiss」、「Switzerland」等の文字又はこれらの文字を含む表示が使用された場合には、取引者、需要者は、当該時計がスイス法令に準拠した商品であると認識し理解するというのが自然である。
(2)他方、本件商標は、「Swisscy」の文字からなり、その構成中に「スイスの、スイス風(製、産)の」の意味を有する「Swiss」の文字が含まれていることが明らかである。
しかも、語尾部分の「cy」は「性質・状態・階級・身分などを表す抽象名詞を造る」接尾辞であること、さらに、本件無効審判事件の無効に係る本件商標の指定商品「腕時計、時計バンド、時計の文字盤、時計鎖、時計側」との関係において、本件商標中の「Swiss」の文字が看者の注意を強く惹くことからすれば、本件商標は、上記スイス法令に準拠した商品ないしスイス製の商品を連想、想起させる場合が決して少なくないというべきである。
そして、本件商標の指定商品中の「腕時計、時計バンド、時計の文字盤、時計鎖、時計側」は、上記スイス法令に準拠していない腕時計並びにスイス製でない時計バンド、時計の文字盤、時計鎖及び時計側を含むものである。
(4)小括
これより、本件商標は、これをその指定商品中の「スイス法令に準拠していない腕時計並びにスイス製でない時計バンド、時計の文字盤、時計鎖及び時計側」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該商品が恰も「スイス法令に準拠した腕時計又はスイス製の時計バンド、時計の文字盤、時計鎖若しくは時計側」であるかの如く、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、その指定商品中「腕時計、時計バンド、時計の文字盤、時計鎖、時計側」について、商標法第4条第1項第16号に該当する。
◆コメント:
妥当な審決であったと考える。