◆対象商標:
「レイジア\regia\REGIA」
◆指定商品役務:
第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料,薫料」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2015-13751
◆審決日:
2015/09/24
◆関連条文:
商標法第4条第1項第11号
◆引用商標
登録第2557504号商標 「レイズィア」
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
(1)本願商標について
本願商標は、その構成中の「レイジア」、「regia」及び「REGIA」の各文字部分が、異なる書体と大きさで表されており、行間にもスペースがあること、さらに、2段目と3段目の欧文字は小文字と大文字の違いだけで、同じ綴りの欧文字を配してなること、加えて各段の文字が特定の意味を有しない一種の造語であって、各段の文字に特定の関連性を認識させるものでもないことを勘案すると、これらの文字が不可分一体に認識されるものとはいい難く、各段の文字ごとに分離して看取される場合も少なくないというのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、多段の文字がそれぞれ独立して自他商品の識別標識として機能をするとみるのが相当であり、1段目の「レイジア」の文字部分が独立して自他商品の識別標識として機能することがあるものといえる。
してみれば、本願商標は、1段目の「レイジア」の片仮名に相応して、「レイジア」の称呼をも生じるものといえる。
また、「レイジア」は既成の語ではないから、特定の観念を生じない造語といえるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、「レイズィア」の片仮名を書してなるところ、その構成文字に相応して「レイズィア」の称呼が生じ、該文字は、既成の語ではないから、特定の観念を生じないものといえる。
(3)本願商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標と引用商標の類否について
a)外観
本願商標の要部といえる「レイジア」の文字部分と引用商標の「レイズィア」の文字は、外観において、3文字目の「ジ」と「ズィ」の文字の差異を有するものである。
そして、「ズィ」の文字は、英語の発音記号における「zi」に相応する表記としても利用されるものであるところ、発音記号「zi」の音を有する我が国で親しまれた英語としては、「busy」、「easy」及び「zipper」などがあり、これらが片仮名で表記されるときは、「ビジー」、「イージー」及び「ジッパー」のように、発音記号「zi」の部分について、「ジ」の片仮名を用いて表記されることも普通に行われているものといえる。
そうすると、本願商標と引用商標の該差異は、かかる英語の発音を片仮名で表記する場合の状況を踏まえると、その影響は必ずしも大きいということはできず、むしろそれ以外の構成文字が共通であることから、近似した印象を与えるものというのが相当である。
b)称呼
次に、称呼においては、本願商標の「レイジア」の称呼と引用商標の「レイズィア」の称呼を比較するに、両称呼は、第3音において「ジ」の音と「ズィ」の音の差異を有するものであるが、「ズィ」の音は、上記のとおり、発音記号「zi」の音の発音表記として「ジ」と表示されることがあるように、「ズィ」の音と「ジ」の音とはほぼ同じ音として聴取されるといえることから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、語調語感が極めて近似したものといえる。
c)観念
そして、観念においては、本願商標と引用商標とは、ともに特定の観念を有しないものであるから、比較することができないものである。
d)類否判断
そうすると、本願商標と引用商標とは、それぞれの外観、称呼及び観念を総合的に考察すれば、相紛れるおそれがある類似の商標ということができるものである。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標と引用商標とは、相紛れるおそれがある類似の商標であることから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
◆コメント:
本件商標の要部「レイジア」と引用商標「レイズィア」との外観の対比において、発音の観点から、近似するとした判断はかなり強引なものであったと考える。
釈然としない審決である。