◆対象商標:
「アルプス価格」
◆指定商品役務:
第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
◆種別と異議申立番号:
異議の決定
異議2015-900105
◆異議決定日:
2015/11/05
◆関連条文:
商標法第4条第1項第11号
◆引用商標
登録第5189105号商標 「ALPS」
登録第5729831号商標の指定役務中、第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。
◆理由:
1 「ALPS」について
申立人提出の証拠等から、「ALPS」の文字は、「アルプス」と称呼され、本件商標の登録出願の日前から、申立人の業務に係る商品(電子部品)を表示するものとして需要者の間に広く認識され、その認識は本件商標の登録査定の日はもとより現在においても継続しているものと判断するのが相当である。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
「アルプス価格」の文字からなる本件商標は、これを本件役務について使用するとき、取引者・需要者をして、「アルプス」の文字から申立人の商標「ALPS」を連想、想起し、構成文字全体から「アルプス(申立人)の製品の価格」「アルプス(申立人)による価格」の意味合いを認識することが少なくないものと判断するのが相当である。
これより、本件商標は、これを本件役務について使用するとき、「アルプス」の文字に相応して「アルプス」の称呼及び「(申立人のブランドとしての)アルプス(ALPS)」の観念を生じるといわなければならない。
(2)引用商標
称呼:
「アルプス」
観念:
「(申立人のブランドとしての)ALPS(アルプス)」
(3)本件商標と引用商標との比較
外観:
区別し得る。
称呼:
両者は「アルプス」の称呼を共通にする。
観念:
本件商標から「(申立人のブランドとしての)アルプス(ALPS)」の観念、引用商標から「(申立人のブランドとしての)ALPS(アルプス)」の観念がそれぞれ生じるものであるところ、両者は、実質的に同一のものといえるものである。
そうすると、両者は、外観において区別し得るものの、称呼及び観念を共通にするものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛らわしい類似の商標と判断するのが相当である。
してみれば、本件商標と引用商標とは、類似する商標といわなければならず、かつ、本件役務と引用商標の指定役務とは同一又は類似の役務である。
(4)まとめ
よって、本件商標は、本件役務について商標法第4条第1項第11号に該当する。
したがって、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定役務である第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(本件役務)について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものといわなければならない。
◆コメント:
本審決のポイントは、引用商標「ALPS」が周知著名であると認定された点である。
確かに、電子部品等の業界においては周知著名であると言えるであろう。