◆対象商標:
「角打ち」
◆指定商品役務
第33類「日本酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」
◆種別と異議申立番号:
異議の決定
異議2014-900172
◆異議決定日:
2015/10/27
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
商標法第3条第1項第6号
商標法第4条第1項第16号
登録第5656608号商標の商標登録を維持する。
◆理由:
(1)申立人が提出した証拠等によれば、「角打ち」の語は「酒屋の店頭で酒を飲むこと、また、その場所」の意味を表す語であること、及び角打ちができる酒販店、飲食店等、又は九州を中心に角打ちを通じて地域活性を目的にした活動が新聞等で紹介されたことを認めることができる。
これより、「角打ち」の文字は、酒販店、飲食店等における飲酒又はその提供のスタイルを表したものとして使用されているとみるのが相当であり、本件商標の指定商品についての品質等を具体的に表示するものということはできない。
そして、申立人が提出した全証拠をみても、本件商標が、その指定商品について、商品の販売場所、用途及び品質を表した文字として一般に用いられているというべき実情を見いだせず、さらに、審判官による職権調査によってもこの事実は発見できなかった。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、商品の販売場所、用途、品質等を表示するものとはいえず、さらに、本件商標をその指定商品に使用するときに、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とすべき、格別の理由は見いだせないから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は同第6号に該当しない。
(2)本件商標は、特定の具体的な商品の品質を表したものとして、需要者に認識されるものではないから、これをその指定商品に使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないというべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
◆コメント:
商標法第3条第1項第3号は、以下のように定められている。
「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格・・中略・・を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」
本審決においては、「角打ち」は「飲食店等における飲酒又はその提供のスタイルを表したもの」と認定されているが、この認定は前記商標法第3条第1項第3号のどの要件にも該当しないということであったのであろう。
仮に本件商標の指定商品役務が「第43類 飲食物の提供」であれば、商標法第3条第1項第3号における「その役務の提供の方法」に該当するとの判断になったのではないだろうか。