◆対象商標:
「MAYDAY」
◆指定商品役務
第9類「理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電気の伝導用・開閉用・変圧用・蓄電用・調整用又は制御用の機械器具,音声及び映像の記録・伝送・再生のための器具及び装置,磁気記憶媒体・記録ディスク(未記録のもの),未記録のコンパクトディスク,未記録のDVD,未記録のデジタル記録媒体,硬貨作動式機械用の始動装置,金銭登録機,計算機,データ処理装置,コンピュータ,スマートフォン,タブレットコンピュータ,ラップトップ型コンピュータ,電子手帳,携帯情報端末,その他の手持ち式のコンピュータ,コンピュータソフトウェア,レファレンス情報・データの配信のためのネットワーク上で使用されるコンピュータソフトウェア,グローバルコンピュータネットワーク及びインターナルコンピュータネットワークを介してレファレンス情報・援助を送信するためのコンピュータソフトウェア,グローバルコンピュータネットワーク上におけるコンピュータアプリケーションへのアクセス・管理のためのダウンロード可能なコンピュータソフトウェア,コンピュータネットワーク・コンピュータプログラム・コンピュータ周辺機器・その他の電子機器すなわちスマートフォン・タブレット・ラップトップ・電子手帳・携帯情報端末・その他の手持ち式コンピュータの自動設定のためのコンピュータソフトウェア」
第41類「知識又は技芸の教授,教育及び訓練,娯楽の提供,スポーツ及び文化活動のためのセミナーの企画・運営又は開催,コンピュータサービス及びコンピュータサポート情報に関連したダウンロード不可能な電子出版物の提供」
◆種別と異議申立番号:
異議の決定
異議2016-900110
◆異議決定日:
2017/01/25
◆関連条文:
商標法第4条第1項第8号
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
登録第5823783号商標の商標登録を維持する。
◆理由:
1 ロックバンドの名称について
複数人から構成され、芸能活動としてロック・ミュージックの演奏を行うロックバンドの名称についても、商標法第4条第1項第8号に基づき保護されるためには、「芸名」と同様に著名性を要するものと解される。
2 本件商標について
本件商標「MAYDAY」の文字は「労働祭」の意味を有する英語であり、我が国においても「メーデー」と表記される語として一般的に知られているものである。
3 ロックバンド「MAYDAY」の著名性について
ロックバンド「MAYDAY」は、本件全証拠を総合しても、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、台湾のロックバンドを表すグループの名称として、我が国におけるロック・ミュージック関係の分野に属する者の間において、ある程度知られていたとの事実は認められるものの、それを超えて、世間一般に知られているとの事実を認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。
4 商標法第4条第1項第8号該当性について
商標法第4条第1項第8号は次のとおり規定されている。
他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)
本件商標の構成文字である「MAYDAY」の文字は、第一義的に、「労働祭」を意味する英語であり、我が国においても「メーデー」と表記され、同様の意味を有する語として広く認識されるものである。
そして、この文字は、同じつづりからなる台湾のロックバンドの名称を表すものとして著名であるとまでは認められないことから、本件商標に接した需要者が想起するのは、第一義的な意味である「労働祭」であるというのが相当であって、必ずしも上記台湾のロックバンドを想起・連想させるとはいえないものである。
したがって、本件商標は、他人の著名な芸名を含む商標とはいえず、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
◆コメント:
申立人は、商標法第4条第1項第8号の著名性の判断については、商品又は役務との関係を考慮し、本件は指定役務中「娯楽の提供」との関係を考慮して判断すべきであること、及び人格的な利益が侵害される側に最大限の配慮がなされるべきである旨主張していた。
しかし、審判官は、商標法第4条第1項第8号の著名性の判断においては、常に、問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当でなく、その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべきものであるとして、申立人の主張を斥けている。
妥当な決定であったと考える。
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