◆対象商標:
「Beauty Salonl\COCO」(上段は小さく、下段は大きく表記、詳細は公報参照)
◆指定商品役務:
第44類「美容,理容,まつ毛エクステンションの施術,マニキュア又はつけ爪による美容,ネイルケア美容,エステティック美容,美容に関する助言・指導・情報の提供」
◆種別と審判番号:
異議の決定
異議2016-900238
◆異議決定日:
2017/02/03
◆関連条文:
商標法第4条第1項第15号
商標法第4条第1項第19号
◆引用商標
1 登録第2704127号商標 「COCO」
2 登録第520006号商標 「Co Co\コ コ」
3 登録第4492799号商標 「COCO MADEMOISELLE」
4 国際登録第1108062号商標 「COCO NOIR」
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
登録第5849864号商標の商標登録を維持する。
◆理由:
1 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の著名性について
申立人提出の証拠等から、申立人商標の周知性は、「香水」を取り扱う分野である「化粧品」の範囲にとどまるものというのが相当であり、その化粧品の分野を超えて、本件商標の指定役務の分野の需要者にまで、広く知られているとは認め難いものである。
(2)本件商標と引用商標との類似性
ア 本件商標
本件商標は、その構成中の「COCO」の文字部分が、看者に強く支配的な印象を与える部分であるといえるものである。
これより、「COCO」の文字部分は、独立して役務の出所識別標識としての機能を有するといえるものであり、本件商標は、構成文字全体から生じる「ビューティサロンココ」の称呼のほか、「COCO」の文字部分より、単に「ココ」の称呼をも生ずるものといえる。
そして、この「COCO」の文字は、「ココヤシ、ココヤシの実」などの意味を有する英語であるから、これよりは「ココヤシ、ココヤシの実」の観念を生ずるものである。
イ 引用商標
引用商標1及び引用商標2からは、その構成文字に相応して、「ココ」の称呼を生ずるものであり、引用商標3及び引用商標4からは、その構成中、独立して商品の出所識別標識としての機能を有する「COCO」の文字に相応して、「ココ」の称呼を生ずる。
そして、引用商標に接する取引者、需要者は、「COCO(申立人の香水のブランド)」の観念を想起するものとみるのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
外観:
極めて近似した印象を与えるものである。
称呼:
両者は「ココ」の称呼を同じくするものである。
観念:
観念上、類似するところはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において類似しないものであるが、称呼を共通にし、外観も近似したものであるから、これらを総合して観察すれば、両者は類似の商標といえるものである。
(3)出所の混同のおそれ
引用商標は、上記のとおり、「香水」を取り扱う分野である「化粧品」の範囲においては、周知、著名であるといえるが、その化粧品の分野を超えて、本件商標の指定役務の分野の需要者にまで、広く知られているとは認め難い。
そうすると、本件商標と引用商標とが、上記のとおり、類似の商標であったとしても、この「COCO」の文字が、「ココヤシ、ココヤシの実」などの意味を有する既成の英語であることも勘案するならば、本件商標は、その指定役務に使用しても、引用商標を想起、連想するものとはいえず、これに接する取引者、需要者は、これが申立人又は同人と経済的、若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第19号について
引用商標は、その申立てに係る指定役務について、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標とはいえないものである。
また、本件商標が不正の利益を得る目的、他人たる申立人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものであることを認めるに足る具体的な証拠はないものであるから、本件商標は、申立人商標について獲得した業務上の信用及び顧客吸引力にただ乗りするものとはいえないし、また、申立人商標の出所表示機能を希釈化したり、その名声を毀損するものでもない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
◆コメント:
本審決のポイントは、引用商標「COCO」が「美容」の分野においては周知性が認められなかったことにある。
「化粧品」の分野の需要者と「美容」の分野の需要者は共通性があるという点は考慮されなかったのであろうか。
やや、疑問の残る審決である。
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