◆対象商標:
「LIBERO-XY」
◆指定商品役務
第10類「眼科手術に用いるための眼科手術用器具(カテーテルを除く。)」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2015-14978
◆審決日:
2016/08/25
◆関連条文:
商標法第4条第1項第11号
◆引用商標
(1)補正により拒絶理由は解消されたので省略する。
(2)登録第5274367号商標 「Libero」
(3)登録第5658924号商標 「Libero TM」
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 引用商標1について
補正により、本願商標と引用商標1とは、その指定商品において互いに抵触しないものとなったから、本願商標が引用商標1との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当するとした拒絶の理由は解消した。
イ 引用商標2及び3について
(ア)本願商標
本願商標の「LIBERO」の欧文字は、「サッカーで、通常はゴール前を守るが、自由に攻撃にも参加する選手。バレーボールで、守備専門の選手。」の意味を有する「リベロ[libero]」が我が国において外来語として知られていることから、「リベロ」の称呼が生じるものであり、「サッカーやバレーボールの守備選手」を表す「リベロ」の観念を生じるものといえる。
一方、「-」(ハイフン)を介し本願商標の後半を構成する「XY」の欧文字2字については、欧文字2字が、商品の品番、型番、種別、規格等を表す記号又は符号として一般的に使用されているものであって、本願の指定商品「眼科手術に用いるための眼科手術用器具(カテーテルを除く。)」に係る医療機器の分野においても、商品の品番等を表示するものとして、同様に採択、使用されている実情があることからすれば、当該欧文字部分は、商品の品番、型番等を表す記号又は符号として認識されるものというのが相当である。
そうすると、本願商標の構成中、前半の欧文字と後半の欧文字とは、「-」(ハイフン)を介して視覚上分離して観察されるものであり、前半を構成する「LIBERO」の欧文字が本願の指定商品との関係で商品の品質等を認識させるものではなく、自他商品の識別標識としての機能を十分に発揮し得るものであるのに対し、後半を構成する「XY」の欧文字は、商品の品番、型番等を表す記号又は符号を表すものとして認識され、自他商品の識別標識としての機能を発揮しないか、極めて弱いものであるとみるのが相当である。
そして、本願商標は、その構成全体から生じる「リベロエックスワイ」の称呼がやや冗長なものであり、全体として一体の観念を生じるものではない。
してみれば、本願商標は、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際にあって、これに接する取引者、需要者が、その構成中の「LIBERO」の欧文字部分を捉えて、これから生じる称呼及び観念により取引に資する場合も決して少なくないものというべきであるから、本願商標は、構成全体より生じる「リベロエックスワイ」の称呼のほか、「LIBERO」の欧文字に相応して、「リベロ」の称呼及び観念を生じるものである。
(イ)引用商標2及び3
・引用商標2
称呼:
「リベロ」
観念:
「リベロ」
・引用商標3
称呼:
「リベロティーエム」、「リベロ」
観念:
「リベロ」
(ウ)本願商標と引用商標2及び3の類否
本願商標と引用商標2及び3とは、「リベロ」の称呼と観念を共通にし、外観上も類似するものであるから、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
(エ)本願の指定商品と引用商標2及び3の指定商品の類否
本願の指定商品は、「眼科手術に用いるための眼科手術用器具(カテーテルを除く。)」であり、引用商標2の指定商品は、「カテーテル」であるところ、これらはいずれも医療用機械器具に属する商品であって、実際に眼内に用いられる内視鏡や涙道内への挿入、留置に用いるカテーテルがあり、また、眼科手術でも全身麻酔の際にはカテーテルを使用することが普通に行われていることからすれば、両商品は、いずれも医療用機器であって、その取扱部門、需要者を共通にすることから、これに同一又は類似する商標を使用した場合には、商品の出所について混同を生じるといえるものである。
また、引用商標3の指定商品中、「医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。)」は、本願の指定商品を含むものである。
これより、、本願の指定商品は、引用商標2及び3の指定商品と、同一又は類似する商品である。
(オ)小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標2及び3と類似する商標であって、本願の指定商品は、引用商標2及び3の指定商品と同一又は類似する商品である。
よって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
◆コメント:
本件商標「LIBERO-XY」の要部を「LIBERO」であると認定したのは、指定商品が「簡易、迅速を尊ぶ取引」をするものであることが大きいだろう。
また、医療用機械器具において商品を混同すれば、人命につながる恐れもあることを考慮したのであろう。
妥当な審決であったと考える。