◆対象商標:
「FRAME」
◆指定商品役務:
第25類「被服,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
第35類
◆種別と異議申立番号:
異議の決定
異議2017-900205
◆異議決定日:
2018/02/15
◆関連条文
商標法第4条第1項第11号
◆引用商標:
登録第5630681号商標 「FRAME DENIM」
登録第5940048号商標の商標登録を維持する。
◆理由:
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
称呼:
「フレーム」
観念:
「骨組み、枠」
イ 引用商標
引用商標は、「FRAME」と「DENIM」の文字の間に1文字程度の間隔を有するとしても、同書、同大、同間隔で外観上まとまりよく表されており、その構成文字全体から生ずると認められる「フレームデニム」の称呼も、よどみなく称呼し得るものといえる。
そして、引用商標を構成する「FRAME DENIM」の文字は、全体として、特定の意味を有する語として辞書に掲載されているものではなく、特定の意味合いで一般に親しまれているとも認められないことから、一種の造語として認識され、特定の観念を生じないものである。
また、引用商標は、その構成中のいずれかの文字部分のみが需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとはいえない。
よって、
称呼:
「フレームデニム」
観念:
特定の観念を生じない
となる。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)申立人の主張について
申立人は、引用商標の構成中、「DENIM」の文字部分は、「綾織りの厚地綿布」の意味を有することから、指定商品を被服とする限り、自他商品識別力が全くない「DENIM」の語を結合させたにすぎない引用商標についてみれば、少なくとも「FRAME」の部分のみが自他商品識別機能を発揮する場合があるというのが相当である旨述べている。
しかし、申立人が提出したアパレル業界における「KURABO DENIM」及び「KAIHARA DENIM」の標章の使用例は、ブランド名として一連一体に使用していることが認められるものであり、この標章において、「DENIM」の文字部分が商品の品質等を表示し自他商品の識別機能を有しないため、この文字を省略して使用若しくは認識されているといった事実は見いだせない。
これより、引用商標の構成中の「DENIM」が、「綾織りの厚地綿布」を意味する語であることから、その指定商品との関係において識別力が弱いものであるとしても、引用商標は一体不可分の商標というべきであって、引用商標から「FRAME」の文字部分を分離抽出し、これを識別力を発揮する要部とみなければならない格別の事情はない。
よって、申立人の上記主張は、採用することができない。
◆コメント
非常に興味深い審決であった。
本審決では、引用商標の「DENIM」部分は、指定商品との関係で識別力が弱いと概ね認めている。
しかし、識別力が弱いからといって、一体不可分の商標から、識別力の強い部分のみを分離抽出するという理由はないとのことである。
この審決事例が、以降の審決に影響を与えて欲しいものである。
なお、仮に、「DENIM」の語が「Dress」等、指定商品との関係で識別力のない語であれば、識別力のある語のみを分離抽出するという判断はあったであろう。