◆対象商標:
「ターザンマニア」
◆指定商品役務
第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」等
◆種別と異議申立番号:
異議の決定
異議2017-900177
◆異議決定日:
2017/11/07
◆関連条文:
商標法第4条第1項第7号
登録第5926349号商標の商標登録を維持する。
◆理由:
1 商標法第4条第1項第7号について
商標法第4条第1項第7号に規定する、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、
(a)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、
(b)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、
(c)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、
(d)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、
(e)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、
などが含まれると解される(知財高裁 平成17年(行ケ)第10349号同18年9月20日判決)。
2 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標の構成中の「ターザン」の文字は「アメリカの作家バローズが1912年から連続して発表した冒険小説の主人公の名。アフリカのジャングルの王者として活躍。たびたび映画化され、32年、水泳選手ワイズミュラーが主演した映画で世界的に有名となる。」の意味を有し、「マニア」の文字は、「熱狂。熱中。夢中。一つの事に異常に熱中する人。」等の意味を有する語であるから、本件商標は、全体として「ターザンに熱中する人」程の意味合いを理解させるものとみるのが相当である。
そうすると、上記の意味合いを理解させる本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではないことは明らかである。
また、商標権者が、「ターザンマニア」の文字からなる本件商標を「運動施設の提供、娯楽施設の提供」について使用することが、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するというべき事情は認められない。
さらに、本件審決取消請求事件の判決では、「ターザン」の文字について、著作権が存続しており、著作権管理団体による利用を排除できる商標登録は、その権利を半永久的に取得することになるから、公正な取引秩序の観点から相当ではないと判決されているが、本件商標は、「ターザン」の文字とは異なる「ターザンマニア」の文字からなるものであること、また、本件商標の登録査定時である平成29年1月26日には、既に「ターザン」シリーズの日本における著作権は消滅していることから、該判決と同様の判断はできないものである。
してみれば、本件商標は、他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されているものでもなく、特定の国若しくはその国民を侮辱し、国際信義に反するようなものと認めることもできない。
加えて、商標権者による登録出願の経緯に、社会的相当性を欠くものとするべき事情も見いだせないし、これに該当するような具体的な証拠の提出もない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
3 まとめ
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
◆コメント
申立人は、「商標権者の目的は、申立人の商標『Tarzan』に化体した業務上の信用にフリーライドすべく・・」旨の主張をしたが、本審決では、本件商標「ターザンマニア」は、一体不可分の商標であり、本件商標が、公の秩序又は善良の風俗に反するようなものでないことは明らかであるとの判断をしている。
妥当な審決であったと考える。