◆対象商標:
「子育てインターン」
◆指定商品役務
第41類「実地教育」等
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2017-10664
◆審決日:
2017/11/08
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
商標法第4条第1項第16号
原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
◆理由:
本願商標の構成中の「子育て」の文字部分が、「子をそだてること。」を意味し、「インターン」の文字部分が、「医師・理容師・美容師などの志望者が修学後免許を得るための要件として職場で行う実習また実習生。」を意味する語であるとしても、これらを一連に表した「子育てインターン」の文字が、直ちに特定の意味合いをもって、役務の質等を具体的に表すものと理解、認識させるとはいい難い。
また、請求人の主張及びその提出に係る証拠等によれば、本願商標は、請求人が2010年頃から実施している、大学生等を対象とした、共働きの家庭で子育ての体験をするプログラムの名称であり、このプログラムが、インターネットや新聞記事、テレビ番組等の各種メディアにおいて紹介されていることがうかがえる。
また、請求人は、大学や地方自治体とも提携し、家事と育児を体験する場として、このプログラムを幅広く展開していることがうかがえる。
しかし、職権調査によれば、請求人以外の者が「子育てインターン」の文字を使用している事実を発見することができず、本願指定役務の分野の取引者、需要者が、該文字を役務の質(内容)を表示したものと認識するというべき事情も見あたらない。
以上からすれば、本願商標は、これをその指定役務に使用しても、役務の質(内容)を表したものとして取引者、需要者に認識されるものではないから、役務の質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ということはできず、かつ、役務の質について誤認を生じさせるおそれもないものである。
これより、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び商標法第4条第1項第16号に該当しない。
◆コメント
本件においては、「子育て」の語自体が職業を意味するものではなく、インターンとは直接に結びつかないことから、本審決説示のとおり、「子育てインターン」が役務の質等を具体的に表すものとはいえないであろう。
妥当な審決であったと考える。