◆対象商標:
「Rotary Marriage」 (図形商標、詳細は公報参照)
第45類「結婚に関するカウンセリング及び指導」等
◆種別と審判番号:
異議の決定
異議2017-900101
◆審決日:
2017/09/07
◆関連条文:
商標法第4条第1項第7号
商標法第4条第1項第15号
商標法第4条第1項第19号
◆引用商標:
1 登録第4304194号商標 「ROTARY」
2 登録第4311002号商標 「ROTARY」
3 登録第4660840号商標 「ROTARY」
4 登録第4702265号商標 「ROTARY」
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
登録第5907047号商標の商標登録を維持する。
◆理由:
1 引用商標の周知著名性について
申立人の主張および申立人提出の証拠等から、引用商標の周知著名性は認められない。
2 本件商標と引用商標との類似性について
(1)本件商標
本件商標の「Marriage」は、「結婚」の意味を有するが、指定役務との関係において、決して強い識別力を果たす語とはいい難く、かつ、本件商標の構成中の文字部分は、外観上まとまりよく一体的に表現されている。
よって、「Rotary」に限定し、この文字部分に相応した称呼や観念をもって取引に資されるものであるということはできない。
これより、
称呼:「ロータリーマリッジ」
観念:特定の観念を生じない
(2)引用商標
称呼:「ロータリー」
観念:「回転する」
(3)本件商標と引用商標との類否
外観:
明らかに相違する。
称呼:
両商標の称呼は、「マリッジ」の音の有無という明確な差異を有し、互いに聴き誤るおそれはない。
観念:
相紛れるおそれはない。
これより、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標である。
3 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、世界的に著名な団体である国際ロータリーの名声を一個人たる商標権者が、同団体の承諾もなく商取引に使用することは、同団体の名声・信用・名誉を傷つけるおそれがあるばかりでなく、商取引の秩序を乱すものであって、我が国の国際的な信頼を損ない、ひいては国際信義に反する旨、主張する。
しかし、引用商標は、「慈善のための募金」を表すものとして一定程度知られているものの、広く一般の需要者の間にまで申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして認識されているものとはいえない。
そして、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であり、役務の出所について混同を生じさせるおそれのある商標ということはできない。
その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものというべき事情もない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記のとおり、引用商標は、本件商標の指定役務の需要者の間に広く認識されていたものとは認められず、かつ、本件商標と引用商標とは、非類似の商標というべきものである。
これより、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記の他に、本件商標が引用商標の顧客吸引力にただ乗りする目的で使用するなど不正の目的をもって使用をするものであるとする証拠もない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
◆コメント
本審決のポイントの一つとして、本件商標「Rotary Marriage」の要部が「Rotary」であると認定されなかった点にある。
指定役務「結婚に関するカウンセリング及び指導」との関係では「Marriage」の語は識別力が弱く、「Rotary」をもって取引に資すると判断しても良かったのではないだろうか。
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