◆理由：
1 引用標章の著名性について
申立人の提出した証拠等から、引用標章は、申立人が著作権をMGM社と共同所有する著名な映画「007シリーズ」を想起させ、かつ、申立人が単独で管理する同映画シリーズに関する商品化事業に係る商品を表示する標章として、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、日本国内における需要者の間に広く認識されていたものということができる。

2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標
称呼：「ガンドライブ」
観念：特定の観念は生じない。

(2)引用標章
引用標章1および2とも
　称呼：「ゼロゼロセブン」
　観念：映画「007シリーズ」の観念が生ずる
となる。

(3)本件商標と引用標章の類否
件商標と引用標章とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。

よって、本件商標をその指定商品について使用しても、出所の混同を生ずるおそれはなく、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標と引用標章とが、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標であることは、上記のとおりであり、商標法第4条第1項第19号所定の他の要件について検討するまでもなく、同号に該当しない。

4 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標と引用標章とは、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標であるばかりでなく、申立人の提出に係る証拠を総合してみても、本件商標をその指定商品に使用することが、社会公共の利益、一般的道徳観念に反するものとはいえず、また、国際信義に反するものともいえない。

さらに、本件商標が、きょう激、卑わい若しくは差別的な文字又は図形からなるものといえないことは明らかである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

  
◆コメント
本件商標は、公報を参照していただければ確認できると思うが、一種のパロディ商標と言えるだろう。
本審決では、本件商標と引用標章が明らかに非類似である旨を強調しているが、たしかに本件商標には「GUNDRIVE」の文字があり、引用標章と混同する需要者等は少なく、パロディだと認識するのではないだろうか。

審決公報はここをクリック。

本件審判の請求は、成り立たない。

◆理由：

(1)本願商標について 

本願商標の「-」(ハイフン)を介し後半を構成する「LC」については、一般的には、欧文字2字の標章が商品の品番・等級等を表示する記号・符号として類型的に使用されている実情があることからすれば、この「LC」は、商品の品番、等級等を表す記号又は符号として認識されるものというのが相当である。

これより、本願商標は、「SeaGull」が、需要者等に対し、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきである。

よって、本願商標は、「SeaGull」を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標の類否を判断することができるものである。

したがって、

　称呼：「シーガルエルシー」「シーガル」

　観念：「海カモメ」

となる。

(2)引用商標について

称呼：「シーガル」

観念：「海カモメ」

(3)本願商標と引用商標の類否

本願商標の要部と引用商標の類否を検討する。

外観：

大文字と小文字の差異はあるものの、外観上近似した印象を与える。

称呼、観念：

共通である。

よって、これらを総合勘案すれば、本願商標と引用商標とは互いに類似する商標というべきであり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(6)請求人の主張について

請求人は、本願商標の「LC」は「life care」の略語であって、商品の品番・規格等を表す記号として使用しているものではなく、アルファベット2文字が品番・規格等を表す記号として使用される場合があるとしても、品番・規格等は一般的には、アルファベットと数字を組み合わせて使用すること-LC」の全体をもって取引されるとするのが相当である旨等主張する。

しかし、「LC」が、指定商品の分野において、「life caｒe」の略語を表すものとして一般に認識されているとは認められず、その証左も提出されていない。

また、一般的に、欧文字の2字の標章が商品の品番・等級等を表示する記号・符号として類型的に使用されている実情があり、「電子計算機用プログラム」においても、同じブランド名における商品シリーズのバージョンアップした製品であること表す場合等、ブランド名の後に続けて商品の型番・種別等を表すものとして欧文字2字を付して使用されている実情があることからも確認することができる。

したがって、請求人の主張は、採用することができない。

◆コメント：

本願商標「SeaGull-LC」の要部が「SeaGull」となるか、もしくは「SeaGull-LC」で一連一体となるかの判断が本審決のポイントであった。

本審決では、「LC」が品番等を表示する記号であることから「SeaGull」を要部と認定している。

難しい判断ではあるが、筆者は特定の欧文字2字（例えば「EX」等）以外は品番等を表示するとは需要者は認識しないのではないかと考える。

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