◆対象商標:
「スポーツ大臣」
◆指定商品役務:
第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,コーヒー,ココア,コーヒー豆,茶,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2015-4723
◆審決日:
2016-03/24
◆関連条文:
商標法第4条第1項第7号
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
(1)商標法第4条第1項第7号該当性について
本願商標の構成中の「スポーツ」の文字は、「陸上競技・野球・テニス・水泳・ボートレースなどから登山・狩猟などにいたるまで、遊戯・競争・肉体的鍛錬の要素を含む身体運動の総称。」の意味を有するものであり、また、「大臣」の文字は、「国務大臣または各省大臣の称」の意味を有するものである。
そして、「大臣」は、国の行政機関として設けられた各省の長の名称に用いられているものであり、総務大臣、文部科学大臣などそれぞれの省名を冠して示される公的な名称として、広く知られているものである。
そして、各省の大臣から許認可や賞を受けた商品には「○○大臣認定」、「○○大臣指定」、「○○大臣賞受賞」などのように、その商品の品質の優位性を表すための表示として使用されている実情がある。このように「大臣」の文字は、実際の取引において、商品について行政機関による公的な基準や規格等を満たしていることや、優れた商品として認められたということを示す表示としても使用され、これに対する取引者、需要者の信頼も大きいものといえる。
ところで、我が国には、スポーツ省という名称の行政機関はなく、スポーツ大臣という大臣も存在していない。しかし、スポーツに関する施策を総合的に推進するため、平成27年10月1日に文部科学省の外局としてスポーツ庁が設置されたことから、スポーツに関する行政機関が存在することは一般に知られているものである。
そして、諸外国において、「スポーツ大臣」という名称の大臣が存在することが新聞記事等に掲載されており、広く一般に知られているものといえる。
してみれば、行政機関名の一部である「スポーツ」の文字と公的名称として用いられる「大臣」の文字からなる「スポーツ大臣」の文字からは、スポーツに関する行政機関の大臣という観念を想起させるものである。
そうとすると、「スポーツ大臣」の文字からなる本願商標をその指定商品に使用したときは、「スポーツに関する行政機関の長」を示す公的な名称であるかの如く、需要者を誤信させるおそれがあるというべきであるから、かかるものを商標として採択、使用することは、国家行政への信頼を損ねるとともに、商取引の秩序を乱すおそれがあり、社会公共の利益に反するものといわざるを得ない。
よって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
◆コメント:
妥当な審決であったと考える。
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