◆対象商標:
「焼生煎餅\やきなませんべい」
◆指定商品役務:
第30類「せんべい」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2014-24536
◆審決日:
2016/03/23
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標をその指定商品に使用するときは、需要者に「焼いた生せんべい」程の意味合いを理解、認識されるといえるもの、すなわち、商品の品質を表示するにすぎないものであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした審尋で示した見解は妥当なものといえる。
(2)請求人の主張
ア 請求人は、「生せんべい」は「生八ツ橋」、「ういろう」の食感に近いばかりでなく、「せんべいソフトクリーム」、「せんべいロール」もあるということで、「せんべい」から離れた甘味食品というべきものであって、せんべいの品種に含まれるものではない。その証拠に、「煎餅」を掲載するすべての国語辞典は「煎餅布団」の記載はあるが「生せんべい」は取り上げていない。「煎」の文字は、いる、あぶり焼くという意味を持つから、「煎餅」はあぶり焼いた餅、いった餅ということで、「焼く」ということが不可欠の要件である旨主張する。
しかしながら、本願商標は、全体として「焼いた生せんべい」の意味合いを容易に認識させることは、上記(1)のとおりである。そして、商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、品質表示として使用されていなくとも、需要者が品質表示と認識すれば足りると解されており、請求人が主張するような「生せんべい」が「せんべい」の品種に含まれないことをもって、需要者が該意味合いを認識しないということもできない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
イ 請求人は、総本家田中屋は平成25年4月18日に「餅,和菓子,菓子」を指定商品として商標「生せんべい」を登録出願している。このことは「生せんべい」が商品でないということを本人が証明しているということにほかならない旨主張する。
しかしながら、上記商標登録出願(商願2013-029029)は、平成25年11月22日に、単に商品の品質を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、本願商標は商標法第3条第1項第3号等に該当するとして、拒絶の査定が確定している。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
ウ 請求人は、生八ツ橋、ういろうを焼いたり油で揚げたりしたら、味、外見が変わり最早名品ではなくなり、食べられたものではない。「生せんべい」は焼いたり油で揚げたりして食べることもあるということですが、焼いたり油で揚げたりした「生せんべい」は生八ツ橋、ういろうと同様に色つやが失われ、肝腎の「生」の味もなくなる旨主張する。
しかしながら、「生せんべい」を焼いて食べる場合もあるとの新聞記事があることを踏まえれば、「生せんべい」を焼いたり揚げたりし得ることは否定できない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(3)まとめ
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、登録することができない。
◆コメント:
妥当な審決であったと考える。